勝手に

アッシュベイビー

ヤバイね。アブナイよ、マジ。 エロチック、グロテスク、サイケ・ファンタジック、ポエチック、センシティブ、Sチック、Mチック、アブノーマル… もう、やたら刺激ックで痛い。 ですが、で...

ひとり日和

「情動を抑えた書き口」と評すると作品の理解を取り違える。 感情が抑制されているのではなく、感情そのものがある種、未熟で未発達。鋭敏な角度を有しながら、未だその在り処・出処が認識されておらず、が故に...

最悪

やっかいな作品。 少々の息苦しさを覚悟した方がいいかもしれない。闇の中を手探りで歩くような閉塞感も味わう。どう終結するのかわからないまま、スローテンポに耐えたりもしなければならない。 銀行勤めのO...

イン・ザ・プール

電車中読者の方はご用心。 思わず「アハハ」とやっちゃって、慌てて周りを見回したりすることになる。間違いない! 「イン・ザ・プール」を含む短編5話のオムニバス。 「伊良部総合病院」の地下にある神経...

ウランバーナの森

独特な読後感。 読み出し、チョイ面倒っちかったりもする。 特異な雰囲気になじんだころには、先を急いで読みたくなっている。 ひどい便秘が解消されるまでのイキサツ。言えば尾篭な話に、なんということか...

邪魔

さてこれは刑事もの? 刑事が犯人を追うのだからして。いやしかし、ちょっと枠外のような。 では、サスペンスなのか? んーん…サイコといえば言えるな?。確かに。 刑事ものであり、サイコ...

サウスバウンド

まあ、面白いから読んでみて! あっという間に上下巻を読み通してしまう。 2006年度の本屋大賞第2位ランキングだけのことはある。 いうなれば世間の常識を逸脱した「いっぷう変わった」両親を持つ少年の...

残虐記

小気味いいスピード感、チャーミングな舞台設定のミステリーといった桐野作品に対する既成概念を捨てなければならない。 空恐ろしい作品。読み終えて、ブツブツと鳥肌立った皮膚が治まるのに時間を要す。何かの...

墓地を見おろす家

おっと! 「結局何がいいたかったのか?!」「人間観・自然観は?」「一体、何がしたかったのか!?」 そーゆーの、ちょっと脇へ置いときましょうよ。 まあ、まあ、なし崩しに主題があらぬ方向へ流れたとして...

愛人 -ラマン-

恐ろしく感覚的。説明がすっ飛んだ舌足らずとも思える短か目のセンテンス。 大昔前に、ざざっとの整理でファイルしたアルバムの写真をめくっているような。どうかすると時々、2、3ページ戻って読み直さければな...

モデラート・カンタービレ

「普通の速さで」「歌うように」。 作中、たびたび目にする曲調を表す音楽用語。さて、それが表題とされているわけが、読み終えてなお、想像の域を出ない。 文庫本わずか144ページの短編。ストーリーがある...

知りたがりやの猫

世の殿方・男性諸氏。 「あら〜いや〜ん」 しどけなく愛らしい甘えの裏で「バッカめ」と舌を出す存在のことをよもやお忘れ召さるなかれ。 様々な形の恋愛話・短編11編。見栄っ張り、嘘つき、そのくせコロッと...

ふいに吹く風

信州の四季の移ろいや身辺の様々、医療従事者としての日々に寄せたエッセイ。それぞれは文庫の、わずか2ページにも届かなかったり、多くても3ページほどだったり。 ところが案外読み終えるのに時間がかかる。1...

阿弥陀堂だより

懐かしさで満たされる。 日本の原風景の中で「和」な「死」が語られる。 人間、このように生き、このように逝けたら、どんなにいいだろう。四季折々の恵み拠り生かされるを魂が識り、自然の一部として悠々と生き...

ダイヤモンドダスト

もやいだ霧の水滴が凍り、空気中の水蒸気が直接昇華して結ぶ小さな氷の結晶が、日光を乱射しながら冷たく澄んだ宙を舞う。 編まれた5編の短編はいずれもキリッと身が引き締まる厳寒の地にこそ見られるダイアモン...

セックスボランティア

なんてこと!!! 最後まで心を痛めながら読了となる。 受け取った感慨を大事に胸に沈めながら、本作が帰結しようとした着地点がどこにあるのか、探し続けたいところ。 手足を動かすことすらままならないハン...

あの世はあった―文豪たちは見た!ふるえた!

表題から察するとおり「あちら」のお話しである。 日本文学史上に名を残す文豪、世界史の分岐点に立つ知識人の超常体験12話が収められている。文学者・三浦氏とジャーナリスト矢原氏の共著。体験者自らが筆にし...

動機

短編4本。うち1作目の表題「動機」を総タイトルに編まれていることに納得する。 人心の奥底で発酵し、ついには理性のフタを弾き飛ばす「動機」。それら4つの動機がどんなことを誘発するか。4作それぞれの意外...

エチオピアからの手紙

フレッシュ&ジューシー。チャーミング&キュート。そして、切なくて温かい。などいってもラブストーリーなんかでは決してない。 末期がん患者と向き合うドクターの話しだったり、内戦激するカンボジアの野戦病院...

先導者・赤い雪崩

「山岳小説」とくくられるのを著者は必ずしもよしとはしていなかったというが、「山岳小説」と呼ぶに最も相応しい作品群を遺した作家は他にないのではないか、と思えてならない。さすれば本作はぜひとも「山岳ミス...