武の湯 –勝利のビール–

自宅から歩いて3分の所に、『武の湯』という銭湯がある。『武の湯』は下町の小さな銭湯であるが、いつもこぎれいにしていて気持ちがいい。肝心の湯の方も、熱い湯が粋とされるこの町の銭湯にあって割合温めに設定さ...

フリーダム・ライターズ

実話ものやノンフィクションが大流行の昨今だが、良質のエンタテインメント性と大いなる感動をセットにした作品となると、なかなかありえないものだ。本作は、そんな2つの要素を兼ね備えた稀有な作品である。 19...

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

【善悪をないまぜにする恐ろしさ】 日本の教育現場で深刻な問題となっている“いじめ”。最近では、いじめ問題の発覚によって自らの指導能力のなさが露呈することを恐れ、教育現場側がいじ...

レッスン!

バラエティ番組で芸能人が“芸能人社交ダンス部を結成するなど、老若男女の健全なスポーツとして誰もが認めるところとなった社交ダンス。本作はその社交ダンスを落ちこぼれの生徒たちに教えた熱血先生の...

vol.30:椎名勝巳バリアフリーな海の魅力を伝えたい!

静岡県伊東市に、赤沢漁港というスキューバダイビングのポイントがある。 もともと漁船を引き上げるための、なだらかなコンクリートスロープを利用して、ダイバーは海に入っていく。 ウエットスーツに身をつ...

知りたがりやの猫

世の殿方・男性諸氏。 「あら〜いや〜ん」 しどけなく愛らしい甘えの裏で「バッカめ」と舌を出す存在のことをよもやお忘れ召さるなかれ。 様々な形の恋愛話・短編11編。見栄っ張り、嘘つき、そのくせコロッと...

ふいに吹く風

信州の四季の移ろいや身辺の様々、医療従事者としての日々に寄せたエッセイ。それぞれは文庫の、わずか2ページにも届かなかったり、多くても3ページほどだったり。 ところが案外読み終えるのに時間がかかる。1...

Genius Party <ジーニアス パーティ>

もともと映画とは、現実と異なる世界への探訪でもある。とりわけ、アニメは実写と違い、観る者に未知なる世界への扉を開いてくれる。閉じ込められた暗闇の劇場の中から、何の制約もない、ありとあらゆる思いつく限り...

昼顔【往年の名女優 カトリーヌドヌーブ】

前にも書いたが、今年のフランス映画祭の来日団長としてカトリーヌ・ドヌーブが任命されたのを機会に若き日のドヌーブを観てみようとTSUTAYAに走った。可愛らしくも「萌え」る「シェルブールの雨傘(1962...

シェルブールの雨傘【往年の名女優 カトリーヌドヌーブ】

1993年より毎年開催されているフランス映画祭もすっかり定着した感があるが、2007年、すなわち今年の目玉は、その映画祭来日団長としてカトリーヌ・ドヌーブが任命されたことだろう。 そのカトリーヌ・...

死刑台のエレベーター【往年の名女優 ジャンヌ・モロー】

「もう耐えられない。愛している。愛している。だからやるのよ」 受話器を耳にした女の顔のクローズ・アップに、マイルス・デイヴィスのトランペットが流れ始める。女はジャンヌ・モロー。彼女は自分の旦那を殺すよ...

阿弥陀堂だより

懐かしさで満たされる。 日本の原風景の中で「和」な「死」が語られる。 人間、このように生き、このように逝けたら、どんなにいいだろう。四季折々の恵み拠り生かされるを魂が識り、自然の一部として悠々と生き...

vol.29:津田忠彦京劇って、面白いんですよ

京劇にかかわって早くも20年になる。日中文化交流の一環として、代表を務めていた劇団世代の訪中公演が行われた1984年、訪中団団長としてさまざまなトラブル処理に追われ、睡眠時間2時間という過酷なスケジュ...

選挙

コメント一切なしで赤裸々に綴る選挙の実態 選挙の裏側なんて、だいたいはテレビやなんかで時おり報じられるくらいである。概してテレビはテレビであるから、当然ナレーターのコメントが入る。それは放送作家がテレ...

ダイヤモンドダスト

もやいだ霧の水滴が凍り、空気中の水蒸気が直接昇華して結ぶ小さな氷の結晶が、日光を乱射しながら冷たく澄んだ宙を舞う。 編まれた5編の短編はいずれもキリッと身が引き締まる厳寒の地にこそ見られるダイアモン...

ザ・シューター/極大射程

アクションモノを観るとき、キャストの動き具合やストーリーもさることながら、注目してしまうのは何といっても役者の肉体である。主演のマーク・ウォールバーグといえば、年初に公開された『ディパーテッド』でジャ...

セックスボランティア

なんてこと!!! 最後まで心を痛めながら読了となる。 受け取った感慨を大事に胸に沈めながら、本作が帰結しようとした着地点がどこにあるのか、探し続けたいところ。 手足を動かすことすらままならないハン...

ビバラ方言

「ふるさとの訛り懐かし停車場の人込みの中に其を聞きに行く」 そんなふうに詠っていたのは、石川啄木だっけか。 首都圏での生活を始め、もうじき10年になる。地方出身者で溢れている土地のはずだが、その訛りや...

あの世はあった―文豪たちは見た!ふるえた!

表題から察するとおり「あちら」のお話しである。 日本文学史上に名を残す文豪、世界史の分岐点に立つ知識人の超常体験12話が収められている。文学者・三浦氏とジャーナリスト矢原氏の共著。体験者自らが筆にし...

vol.28:広田行正・千悦子海辺の家で開かれるふたり展

三浦半島の海沿いをバスで行き、秋谷というバス停で下ります。小さな谷を見下ろしながら急な坂をのぼっていくと、緑が色濃くなっていきます。すると、まもなく、こぢんまりとした民家が見えてきます。ここが広...