インベージョン

家族や友人が、ある日を境に別人になったように思える恐怖。外見は何も変わらないのに、その発言や行動が明らかにオカシイのだ…。1955年に出版されたSF古典小説『盗まれた街』は過去にも何度か...

ウランバーナの森

独特な読後感。 読み出し、チョイ面倒っちかったりもする。 特異な雰囲気になじんだころには、先を急いで読みたくなっている。 ひどい便秘が解消されるまでのイキサツ。言えば尾篭な話に、なんということか...

バタフライ・エフェクト2

【アシュトン・カッチャーなき続編】Butterfly effect…チョウチョウ効果とは、一匹の蝶の羽ばたきが地球の裏側の台風をも引き起こすというような、ほんの僅かな変化が後に多大なる変...

富士の湯 –犬のいる光景–

なかなかどうして今年は残暑がキツイ。 しかしそれだけに今年は湯上りの冷えたビールが格別に美味いのだ。ビールが美味いと風呂に入る楽しみが増す。風呂に入るとビールが美味い。これを"残暑の相...

ヘアスプレー

本作は、誰もが楽しめるハッピーなミュージカルなだけではない。今もアメリカに根強く残る人種差別問題を根底に据えつつ、容姿端麗“ではない”主人公がいかに成功への道を辿るかを描いた、...

邪魔

さてこれは刑事もの? 刑事が犯人を追うのだからして。いやしかし、ちょっと枠外のような。 では、サスペンスなのか? んーん…サイコといえば言えるな?。確かに。 刑事ものであり、サイコ...

vol.33:古瀬浩史「自然」と生きる、中年のび太

インタープリターという言葉をご存じだろうか。ひとことで言えば「自然の案内人」。 ただ、自然のなかの木や生き物などの名前を教えるだけでなく、その場所の生態系、そこに暮らす人との関わり、歴史など、さ...

サウスバウンド

まあ、面白いから読んでみて! あっという間に上下巻を読み通してしまう。 2006年度の本屋大賞第2位ランキングだけのことはある。 いうなれば世間の常識を逸脱した「いっぷう変わった」両親を持つ少年の...

サルバドールの朝

世に理不尽な事柄は尽きない。左遷や暴力、陰湿ないじめ、公金横領など、その発現の仕方は様々だが、法の下に命を奪われるという苛酷な末路を迎えることは稀だろう。本作は実話をもとに、その“稀&rd...

ミス・ポター

【『ピーター・ラビット』スルメ論?!】 本作で『ピーター・ラビット』の生みの親を演じるレニー・ゼルウィガーだが、全米脚本家協会のストライキの影響で来日がキャンセルされてしまった。このストライキの影響で...

残虐記

小気味いいスピード感、チャーミングな舞台設定のミステリーといった桐野作品に対する既成概念を捨てなければならない。 空恐ろしい作品。読み終えて、ブツブツと鳥肌立った皮膚が治まるのに時間を要す。何かの...

vol.32:上野隆幸軽井沢で築窯・第2の人生!

「どうして『陶芸家になっちゃったか』よくわからないんです」 陶芸家・上野隆幸氏は首をかしげた。 「土」に魅了されたとしか、言いようがない。ただの「土くれ」が美しい形に変わる。水ひき・成形の時の、...

清の湯 –故郷の湯–

今回はとある銭湯を目指して一路北海道へと飛んだ。 とは言っても、ひとっ風呂浴びるためだけに北海道へ飛べるような大物作家ではないので、もろもろの仕事を絡めながらの小物作家的旅となった。旅程は3泊4日。の...

ウィッカーマン

1973年版の同名カルト映画をえらく気に入ったニコラス・ケイジが、自ら製作を買って出て“リメイク”ならぬ“リ・イマジネーション”して作りあげたのが本作だ...

墓地を見おろす家

おっと! 「結局何がいいたかったのか?!」「人間観・自然観は?」「一体、何がしたかったのか!?」 そーゆーの、ちょっと脇へ置いときましょうよ。 まあ、まあ、なし崩しに主題があらぬ方向へ流れたとして...

愛人 -ラマン-

恐ろしく感覚的。説明がすっ飛んだ舌足らずとも思える短か目のセンテンス。 大昔前に、ざざっとの整理でファイルしたアルバムの写真をめくっているような。どうかすると時々、2、3ページ戻って読み直さければな...

モデラート・カンタービレ

「普通の速さで」「歌うように」。 作中、たびたび目にする曲調を表す音楽用語。さて、それが表題とされているわけが、読み終えてなお、想像の域を出ない。 文庫本わずか144ページの短編。ストーリーがある...

梅の湯 –男の勝負–

銭湯たるもの、“終い湯”間際は閑散としているのが常である。 しかしここ『梅の湯』は、夜も11時を回ったというのにひどく混雑していた。銭湯激戦地区の浅草にあって、『梅の湯』はいわ...

vol.31:Thomas G. McBayこだわりコーヒーで目覚める街

場所はカリフォルニア州ロスアルトス市。 小さなダウンタウンは通常目にするざわめきとはまるで無縁で、どこかの高級避暑地を思わすほどゆったりとした空気と時間に包まれている。 その一角にこの夏新しくオ...

怪談

夏に怖い話は付き物である。科学的考察を交えながら、あたかもリアルそうに作りあげられた鈴木光司などの現代ホラーもいい。だが、古くから伝わる日本の伝統的な怪談は、花火を見るような、スイカを食べるような、蚊...