読み物

【特別連載】おそうじマン日記(その7)

※前回へしばらく経った日のこと、「うーん、うーん」苦しそうなうめき声が聞こえてきたので、階段の下へ行ってみると、ごんた君がぐったりと倒れていました。「大丈夫? どうしたの?」「かまうなっ。じぶんのこと...

ガンコロリン

表題の「ガンコロリン」他5篇の短編作品からなる一冊。いずれも2010年から2013年にかけて「小説新潮」や「小説現代」に掲載されたものをまとめたものだ。 切れ味のよい短編なればこそ、却って著者の「...

【特別連載】おそうじマン日記(その6)

※前回へそしてまた何日か経ったお昼寝時間のことです。いきなりごんた君がはね起きて、先生を指差して言いました。「おーい、みんなー。おきろ、おきろーっ。この女のいうこと、きくなーっ。大うそつきだぞー。みん...

カレイドスコープの箱庭

悪気がないとも言い難い、ちっぽけではあるが立派な不正。おバカでエゴな悪ふざけ……言いたてれば、すなわち「なんだかな〜」な事件の顛末。 早いうちから、事のなんたるかが読み解...

【特別新連載】おそうじマン日記(その5)

※前回へ毎日トイレの掃除をしていると、たまに誰かが来ます。その日はまりちゃんが来ました。「トイレ、おかりしてもよろしいでしょうか?」「はい、どうぞ使ってください」「とてもきれいな言葉づかいですね。どな...

【特別新連載】おそうじマン日記(その4)

※前回へ三日目は、玄関でごんた君が待ちかまえていました。「こんにちは」と私が言うと、「おそうじ、がんばってね」ごんた君がとても素直に言いました。あっけにとられていたら、私をのぞきこみ、「べろべろ、ばあ...

【特別新連載】おそうじマン日記(その3)

※前回へ 二日目。「こんにちは、こんにちは」と言いながら、保育園の玄関に入っていきました。 五〜六人の園児が、白目をむいたり知らんぷりをしたりしました。 靴を履き替えていると、バタバタッと元気...

おねえちゃんって、もうたいへん!

1行目からドキッ!何気ない主人公の最初の発言なんだが、誰でもえぐられる。いとうみく3作目読了!著者の子供に注がれる視線。歯に衣着せぬ真っ直ぐさだ。「親があっても子は育つ! 下手な親ならない方がましだが...

糸子の体重計

「かあちゃん取扱説明書」に続いて作、絵ともに同一の手になる作。これもまた、かあちゃん、とおちゃんカテゴリーの人のみならず、大人に読んでもらいたい。ストーリーの中心にいるのは小学校高学年(少なくとも中学...

【特別新連載】おそうじマン日記(その2)

※前回へ ため息をついて掃除に戻ると、きく組の前に女の子が一人立っていて、こちらをじっと見ています。ゆっくりそこへ近づいて行くと、その子はニッと笑いました。 「わたし、立ってるの&hellip...

【特別新連載】おそうじマン日記(その1)

三月の終わりの頃、私は、ある保育園で働くことになりました。これは、その一年目の一年間のお話です。一日目。十二時半に保育園に着きました。「おしっこたれーっ。うんちたれーっ」と、ちっちゃな男の子が、叫んで...

かあちゃん取扱説明書

本書を孫の本棚の隅に見つけて、思わず手に取った。「もらった図書券でボクが買ったんだ」「ばあば、持ってって読んでもいいよ」お言葉に甘えて借りてきて読んだ。かあちゃんのトリセツ。小学校4年生の子どもの心を...

創作、芸術の秋なみなさんへQ5!【後編】

てなわけで芸術・創作の秋なみなさんに登場いただく後編。前編と合わせてどうぞ。 1・伊勢谷 千裕(イセヤ チヒロ)旅写真、物語作家、造形の3つを専攻しておりキャリアは9年です 2・放浪の旅に...

創作、芸術の秋なみなさんへQ5!【前編】

いやあ、すっかり秋ですねえ。秋と言えば……なんてフレーズは毎年毎年使っている気がしますが、やっぱり使ってしまうとスポーツや食欲や読書や……という...

ホテルローヤル

編まれた七話は、書き下ろしの第二話を除いて一話ずつ「小説すばる」に掲載されたもの。第一話は原題が「ホテルローヤル」だったのを後に「シャッターチャンス」に改題したとか。発表当初は以後の七話連作を意識して...

教場

とにかく吾輩はご機嫌である。本書は大層、面白かった。より何より「面白い」と思った作品の著者作を手にするのが本作が最初であり、ということはつまり、これから面白い作品に山盛りで会える可能性が大だということ...

夏に行きたいオススメなこんな店にQ5!

気が付けばすっかり夏になってしまいました。気温が高いだけでなく、湿気にもやられてめげそうですが、そんなときはしっかり食べて飲んでくつろいで……ってことでやり過ごしましょう...

Vol.80 柳生真吾
 俳優一家が辿り着いた”約束の地”、その素晴らしさよ

――今回は柳生真吾さんにお話をうかがいます。柳生●はい、どうぞよろしくお願いいたします。――柳生さん......いや、柳生さんだけでなく、お父様の柳生博さん、お母様の二階堂有希子さんと一緒にお作りにな...

極北ラプソディ

うむ。登場するのは「知った」人物ばかりなんだが。表題から推して知れるように「極北クレーマー」のコンティニューには違いないが、意外なところで「モルフェウスの眠り」よりは前だとわかり、「ジェネラルルージ...

モルフェウスの領域

「最先端医療ミステリー」とは帯にあるが、いい意味で若干違和感を覚えたりする。最先端といえば、そうには違いない。現時点における医の最先端の延長線上にはあるといえないこともないが、延長距離は見かけよりは遥...