窓の外は白一色、気温はマイナス10度。どこが秋なの? そう首を大きく傾けたくなる今年のカルガリーの10月。そんなカナダの秋の食と言ったらやはり『サンクスギビング』だろう。
サンクスギビングは神の恵みの収穫に感謝するための祝日で、どの家庭でもたくさんのごちそうを作って祝う。寒さのため収穫が早いカナダでは、サンクスギビングもアメリカより1カ月以上早い10月の第二月曜。
テント内なので雪は避け
られるが風が通って寒い!
カルガリーにいくつかあるファーマーズマーケットがもっとも混み合うのが、このサンクスギビングの週末。私のよく行くクロスロードマーケットでは旬の野菜や果物、自家製ジャムや蜂蜜、パンやパイ、ケーキ、色とりどりのチーズがところ狭しと並び、精肉店ではサンクスギビングのテーブルには欠かせない七面鳥が山積み。
マイナス10度の中、皆白い息を弾ませお目当ての店へと急ぐ。私も放し飼いで育てられた七面鳥を手に入れるため精肉店へ駆け足、そして8.2キロの七面鳥をゲット! スーパーでは冷凍された七面鳥が3000円前後で購入できるが、これは5000円強と値段が張る。値段よりも重さに驚きながら両手で七面鳥を抱いてやっとこさ車へと運ぶ。青果売り場では巨大パンプキンに心を奪われつつ、デコレーション用にいくつか 小さいものを購入。それから野菜などを買って帰路につく。
我が家のサンクスギビングのお料理は主に主人が担当。ウクライナ系カナダ人の彼が作るメニューは七面鳥の丸焼きのクランベリーソース添え、ウクライナ風ご飯入りロールキャベツ、ワレーニキ(ウクライナ風じゃがいも入り餃子)など。
ひやかしのみで誰も買わない巨大パンプキン
手の平サイズのデコレーション用。1ポンドで2ドル
他のお宅に行くと七面鳥以外はハムやマッシュポテト等が主流だが、このウクライナ風のお料理も皆に広く人気がある。ロールキャベツ作りは私も手伝って、二人で1日中お料理……。
8.2キロの七面鳥も片手で軽々と
夕方になるとお客さんが思い思いにお料理やデザート、ワインを持ってやって来る。サンクスギビングは家族で祝うのが一般的だが、家族が近くにいない私達は毎年似たような状況の友達とともに過ごす。
カナダ、ウクライナ、日本、中国、インド、アメリカ、韓国……それぞれ違う国から来た人々が皆同じ言語で話し、同じ料理を分かち合う。これぞ移民国家カナダらしい感謝祭! 夜中まで尽きる事なく続いた料理、おしゃべりと笑いにお腹も心もいっぱい。季節の恵みへの感謝、それ以上に異国で助け合える友達のありがたみを深く感じた、例年よりぐっと寒いサンクスギビングの夜だった。