無事に第二の故郷へ。海外の空港の雰囲気は独特
"であい"の漢字には「出会い」と「出合い」があるが、"心が動かされるそれには「出会い」を使う"という人に会ったことがある。なぜだかそのことは20年以上経った今でも私のなかに残っている一言で、だから今でも"であい"と聞くたびに「これは自分にとって出会い? 出合い?」と自問する習慣がある。
そしてこの春は"出会い"の連続であった。そのひとつが4カ月になる息子との初の国際線フライト。もともと出産のために大きいお腹を抱えて日本へ里帰りしていた私、今度は元気いっぱいに生まれたわが子を連れて第二の故郷アルゼンチンへ戻るのだ。
何度も経験したことでも、自分の中の何かが変われば同じ行程が全く違ったものになることがあるが、ベビーを連れての空の旅もそのひとつだった。
カウンターで貸し出されるバギー
こちらバシネット。最前席の壁に取り付ける
それにしても最近では赤ちゃんだって飛行機に乗るのが当り前の時代。航空会社のサービスにもベビー向けのサービスが揃っている。まず、チェックインカウンターに到着するとバギーが貸し出され(搭乗まで使える)、搭乗も優先される。搭乗時には荷物を席まで運んでくれる。機内ではバシネットと呼ばれるベビーベッドを用意してくれる(事前予約が必要)。バシネットがあると機内でも赤ちゃんをベッドに寝かせられるので30時間を超えるフライトに臨んだ私にはかなり重宝したアイテムだった。そしておもちゃやおむつ、赤ちゃん用のブランケットサービスも。まあ全額ではないにしても国際線では乳幼児にもしっかり料金がかかっているので(事故のときの保険料を含んでいるのだとか)、ベビーも立派なお客さんなのだ。
空港のおむつ替え台は、日本のより多少大きめ
初めての飛行機、初めての空間。機内で泣かれたらどうしよう、こんなに長い時間のフライト、体調は大丈夫だろうか……。不安や心配もよぎりながら、でも「私たちはふたりいるから、どうせひとりは手が空くの」と何かと手を貸してくださった1歳の坊や連れの中国人ご夫婦や、ベビーを腕に抱えながらだとせまい座席では機内食も食べづらいからと「私が抱いておいてあげるからその間あなたゆっくり食べなさい」といってくれたアルゼンチン女性。「荷物が来たら教えてくださいね。自分が取ってきますよ」と機内預け荷物を運んでくれた台湾出身の男の子など、初めてだらけの経験には多くの人のあたたかさが待っていた。
名前も知らない彼らとの"であい"。まさに 身にしみる"出会い"多き初フライトは、今後アルゼンチンでのベビーの"出会い"を予見させるものなのであった。