野原のベリー、湿原の鶴、そして牧場の牛――エストニアの中の「北海道」


100507_01_01.jpg
こちらエストニアのタリン歴史地区

フィンランドの首都ヘルシンキから高速船で1時間半。バルト三国のひとつ、エストニアまであっという間の船旅だった。エストニアといえば、最近は大関に昇進した把瑠都凱斗(ばるとかいと)の出身地として有名。よくよく見るとこの名前、なかなか面白い感じですね。

何も詳しい情報がないまま、とりあえず世界遺産に登録されている首都タリンの歴史地区をぶらぶらと散歩してみる。すると、店の前でおちゃめな人形がメニューを眺めていた! メニューには美味しそうなケーキの写真がいっぱい。思わずふらふらと店の中へ。



100507_01_02.jpg
メニューを眺めるおちゃめな人形


100507_01_03.jpg
ベリーのケーキがずらり

ドアを開けると、甘酸っぱい香りがわっと押し寄せてきた。ケースの中にはあふれんばかりのベリーたっぷりケーキがずらり。思わずごくり。そんな東洋人ににっこりほほえんで、カフェのオーナーがケーキの説明をしてくれた。
さっそく、いちばんお勧めのクランベリーのタルトをいただく。クランベリー、英語のつづりはcrane berry。鶴(crane)が大好なベリーということでこんな名前がつけられたらしい。実際、エストニアにはたくさんの湿原地帯があって、野生の鶴が生息している。続いて、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、ブラックベリーとベリー目白押しタルトをいただく。


100507_01_04.jpg
いちばんのお勧めクランベリーのタルト


100507_01_05.jpg
ベリー目白押しタルト

ベリーは栄養たっぷりの実。森林や野原、庭などで採れる。オーナーによると、多くのエストニア人は自宅やサマーハウス、家庭菜園を持っていて、ここでいろいろな野菜や果物を育てている。また、街を一歩出ると、夏には野生のベリー類(木イチゴ、イチゴ、ブルーベリー、クランベリー、コケモモなど)が採れる。郊外では牛を買っている家も多く、牛乳や乳製品も美味しい。


100507_01_06.jpg
ベリー摘みにいけなかった人のために手作りジャム

夏の間は生でベリーをいただき、冬には収穫しておいたベリーでジャムやシロップ漬けを作るそうだ。生のベリーを食べると春が来たって思うの、とオーナーが教えてくれた。

ベリーケーキを食べながら、灰色の空をぼんやり眺めてみる。この空の色、野原いっぱいのベリー、湿原に舞う鶴、そして牧場でのんびり草を食べる牛。思わず故郷の北海道を思い出す。地図上では遠い国だったエストニアで、懐かしい風景に出会ったのだった。