南ドイツ滞在時の友人宅で、朝食の“おもてなし”
ドイツといえばサワーでヘビーな黒っぽいライ麦パン!
そう思い浮かべる人は多いはずドイツパンといえば「酸っぱい」、「固い」などと、イマイチ日本人には人気がない……のだけれど、多彩な穀物を使ったバリエーションの豊富さで、ヨーロッパではパン王国・ドイツ!であるのも、これまた事実なのであーる。
……が、その日本人のイメージにビタッとこびりついている典型的な黒いライ麦パンのような、サワーでヘビーなパンを、さすがのドイツ人も好んで朝からは食しませんです。
朝、食卓に上るパンは、小さな丸くって白い小麦粉のパン「カイザーゼンメル」が一般的。けしやゴマ、ひまわりの種などのトッピングのバリエーションに「どれにしようか…」と迷ってしまい、それだけでもパン王国の片鱗は垣間見れます。どんな小さな町にもベーカリーがあって、朝、焼きたてゼンメルを買って食卓に出すという家庭も結構多いんですね。
カイザーは「皇帝」(王冠型の切れ目が由来)、
ゼンメルはドイツ南部地方の方言で、
白いパン」という意味の「カイザーゼンメル」私がドイツの友人宅に滞在していたときも、ほぼ毎日のようにベーカリーから「今買ってきたよ〜♪」のフレッシュベーカリーたちが食卓に登場していた。そこは家族が多く、常に5〜6人で朝食をとっていたのだが……最初は軽く聞き流していたのだが……だんだんと、徐々に、じわじわと、その“言葉”が耳から離れなくなり、気になって仕方なくなってしまった。
ゼンメルを横半分にスライスし、たーーーっぷりのバターを塗るのがドイツ流!? 子供たちの塗りっぷりなんて、「チーズでも載せたの?」と思うくらい、ものさしで厚さを測れるくらいにお見事! なんでございます。
そんな人気者のバターさんですから、誰かがパンのおかわりをする度に食卓上をバターが行き交うわけですね。その時の掛け声が、「ブッタ」なのです。そうなのです。ドイツ語で「ブッタ(ー)」こそ、バターなのです。大人から子供まで、朝から声高らかに「ブッタ」を連呼し、「早くちょうだいよー」と争奪戦(!?)を繰り広げるドイツの朝食。以来、「ブッタ」と聞くと、大仏様より先にバターを思い浮かべるようになってしまった私なのでございます。
ビールのお供の印象が強い「プレッツェル」も、
仕事優先!朝食に時間をかけない勤勉なドイツ人にはお手軽朝食パン余談になりますが、ビール大国でもあるドイツ。ドイツ南部バイエルン州の伝統的な朝食は、ソーセージ、塩つきパン「プレッツェル」、ビールの3点セットなのだそうです。ドイツ在住日本人の友人曰く「朝からビール飲むのは修道院が発祥らしいけど、早朝のカフェで初めてこの光景見たとき、目を疑ったわ。いわゆる力仕事のための“栄養摂取”なんだってさー」。ちなみに、朝だからビールの量を減らすなんて遠慮はしません! なんだそうです……。
ということで、ドイツ人たちとの朝食の機会に恵まれた方は、遠慮なく、パン片手に「ブッタ!」と連呼して、ドイツ人との“聖戦”に宣戦布告してみてくださいませ。