スペインで朝(だけ?)仕事が遅いのは……

20121112_bannar.jpg食で知られたスペインながら、スペイン人って朝食をとらない人もけっこういるようで、朝のパン屋さんでもパンの種類がやたらと少ないんです。「えーっとクロワッサンとチョコクロワッサンと、えーっとああやっぱりもう一個クロワッサン下さい」が朝のパン屋での私の注文風景。おいおい、クロワッサンばっかりじゃないか!って、そんなつっこみ大歓迎です。私もパン屋さんではそうやって自分につっこみを入れて、「選べない淋しさ」を乗り切っています(大袈裟)。

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チュロスを温かいチョコラーテ(チョコレートドリンク)につけて食べるのはスペイン朝食の定番と言われています。
寒い時期には糖分と温度で体がほっかほっかあったまるんです
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近所のパン屋さん。
ローカルでフレンドリーで顔見知りで大好きなんですけど、
パンの種類が本当に少ないんです
朝食をとらない、または朝食にあまりこだわらない人が多い理由を探っていくと、やはり10時―11時過ぎ食べる「アルムエルソ(軽食)」が関係しているように思います。スペインには1日に5回の食事タイムがありますが、朝食を抜かしてもすぐアルムエルソがあるので、朝食へのこだわりが、食事一日3回派の私に比べて少ないように思います。ちなみに食事5回というのは、朝7―8時出勤・通学前にとる朝食、10―11時頃のアルムエルソ(軽食)、午後2―3時のランチ、夕方6―7時のメリエンダ(夕方の軽食)、9―10時夕食といった具合です。

というわけで、学校でも仕事場でも10時半―11時にはアルムエルソ・タイム。仕事でも勉強でもやっとエンジンかかってきた頃合いに食事休憩って、さすが食の国スペインです。学校だと、子どもたちは持参したボカディージョ(スペイン版サンドイッチ)や果物、ヨーグルトなどを、大人たちは、職場近くのバールに行って、タパスなどをつまみます。ちなみにスペインで朝食をとる人の話を聞いていると、牛乳とビスケット、チュロスとチョコラーテ(チョコレートを溶かしたドロドロのドリンク)といった甘党が「与党」に君臨している印象。

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コーヒーとパンコントマテ。
パンコントマテは、軽くトーストしたスライスフランスパンに
オリーブオイルを塗ってトマトソースを塗るだけ。
家庭でできる簡単なスパニッシュメニューです!
朝食にこだわりたい私は、ミュズリ、オートミール、トースト、キャロットケーキなどを用意して朝に臨んでいます。手作りも含めてですよ(すごいでしょう)。だって前述のとおりパン屋に行ってもあまりにも種類がないので選ぶ楽しみがないんです(しくしく)。もちろん、これに片手にアルゼンチン時代から愛用している「マテ茶」を飲みます。

日によっては、子どもを学校に送っていったあとにカフェテリアに直行し、コーヒーとパンコントマテ(トマトソースがかかったフランスパンのスライス)やパンコンハモン(オリーブオイルと生ハムがおかれたフランスパンのスライス)などを軽く食べます。余談ですが、スペインでは新聞を毎朝配達してもらうことは稀で、新聞はキオスコなどで買います。というわけで、喫茶店行きの目的は、朝食を食べながら新聞を読み世界のニュースをキャッチアップ、というインテリな側面もあるわけです。はい。

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バレンシアの名誉のために申しておくと、
El PArisiénや、Panpan(写真)といった、
おいしくてパンの種類もそこそこあるようなお店もあるんです。
たまには(笑)
スペインに来て以来、朝食と働き方の相関関係なるものを目の当たりにした気がします。朝食を抜くと脳がエネルギー不足になって集中力が下がり、勉強や仕事がはかどらないと言われますよね。ということは、スペインでは、朝は効率性が低い? そうか! だから、午前中市役所に行くと、びっくりするほど仕事が遅いんですね。だってこの人たちアルムエルソまでたいしたものを食べてないんだもんね。しょうがないよ。
朝食事情を理解することで、非効率な働き方にも理解を示せるようになってきた(ほんまかいな)、今日このごろです。