執筆者: 小玉.徹子
平成元年に30歳を迎えた層。すなわち団塊の世代のひと世代あとに該当する向きには、読み出せば、たちまちに懐かしさにつまされよう。 18、19歳で地方から上京、なんてことならなおさら、いちいちうなづいて...
vol.37:水上 均「晩ごはん食べに、うち来ない?!」を仕事にしたら…
■まずは市場へ■ 「クッキング・イベント・コーディネーター」耳新しい肩書きを名乗る水上 均さん。「旨いものを食す」こととイベントごとのあるところ、請われれば、どこへでも出かける。 料理人としても...
出たよ、出たよ。待望の「伊良部先生シリーズ」第2弾! Book1stの店頭で偶然みつけた時は、小躍りして喜んじゃったけど、見事に期待に沿った、これはもう傑作! 平成15年から16年の年頭までにオ...
好きなこと、やりたいことだけをやってきた 恩師の「女房、北海道出身だったよね」で1989年、東京から津軽海峡を渡った。「3、4年で帰すから」を念頭に置いた北海道行きだったはずが、いざ「そろそろも...
何といっても桐野作品に登場する「男前」な、ツオイ女にはほれぼれする。だから、どうしても女探偵「村野ミロ」シリーズには胸のすく痛快感を期待してしまう。 が… どうしたことか、読み始め...
ヤバイね。アブナイよ、マジ。 エロチック、グロテスク、サイケ・ファンタジック、ポエチック、センシティブ、Sチック、Mチック、アブノーマル… もう、やたら刺激ックで痛い。 ですが、で...
「情動を抑えた書き口」と評すると作品の理解を取り違える。 感情が抑制されているのではなく、感情そのものがある種、未熟で未発達。鋭敏な角度を有しながら、未だその在り処・出処が認識されておらず、が故に...
やっかいな作品。 少々の息苦しさを覚悟した方がいいかもしれない。闇の中を手探りで歩くような閉塞感も味わう。どう終結するのかわからないまま、スローテンポに耐えたりもしなければならない。 銀行勤めのO...
電車中読者の方はご用心。 思わず「アハハ」とやっちゃって、慌てて周りを見回したりすることになる。間違いない! 「イン・ザ・プール」を含む短編5話のオムニバス。 「伊良部総合病院」の地下にある神経...
独特な読後感。 読み出し、チョイ面倒っちかったりもする。 特異な雰囲気になじんだころには、先を急いで読みたくなっている。 ひどい便秘が解消されるまでのイキサツ。言えば尾篭な話に、なんということか...
さてこれは刑事もの? 刑事が犯人を追うのだからして。いやしかし、ちょっと枠外のような。 では、サスペンスなのか? んーん…サイコといえば言えるな?。確かに。 刑事ものであり、サイコ...
まあ、面白いから読んでみて! あっという間に上下巻を読み通してしまう。 2006年度の本屋大賞第2位ランキングだけのことはある。 いうなれば世間の常識を逸脱した「いっぷう変わった」両親を持つ少年の...
小気味いいスピード感、チャーミングな舞台設定のミステリーといった桐野作品に対する既成概念を捨てなければならない。 空恐ろしい作品。読み終えて、ブツブツと鳥肌立った皮膚が治まるのに時間を要す。何かの...
「どうして『陶芸家になっちゃったか』よくわからないんです」 陶芸家・上野隆幸氏は首をかしげた。 「土」に魅了されたとしか、言いようがない。ただの「土くれ」が美しい形に変わる。水ひき・成形の時の、...
おっと! 「結局何がいいたかったのか?!」「人間観・自然観は?」「一体、何がしたかったのか!?」 そーゆーの、ちょっと脇へ置いときましょうよ。 まあ、まあ、なし崩しに主題があらぬ方向へ流れたとして...
恐ろしく感覚的。説明がすっ飛んだ舌足らずとも思える短か目のセンテンス。 大昔前に、ざざっとの整理でファイルしたアルバムの写真をめくっているような。どうかすると時々、2、3ページ戻って読み直さければな...
「普通の速さで」「歌うように」。 作中、たびたび目にする曲調を表す音楽用語。さて、それが表題とされているわけが、読み終えてなお、想像の域を出ない。 文庫本わずか144ページの短編。ストーリーがある...
世の殿方・男性諸氏。 「あら〜いや〜ん」 しどけなく愛らしい甘えの裏で「バッカめ」と舌を出す存在のことをよもやお忘れ召さるなかれ。 様々な形の恋愛話・短編11編。見栄っ張り、嘘つき、そのくせコロッと...
信州の四季の移ろいや身辺の様々、医療従事者としての日々に寄せたエッセイ。それぞれは文庫の、わずか2ページにも届かなかったり、多くても3ページほどだったり。 ところが案外読み終えるのに時間がかかる。1...
懐かしさで満たされる。 日本の原風景の中で「和」な「死」が語られる。 人間、このように生き、このように逝けたら、どんなにいいだろう。四季折々の恵み拠り生かされるを魂が識り、自然の一部として悠々と生き...