オーストリアでは「朝食は皇帝のように。昼食は王様のように。夕食は乞食のように」という面白い格言がある。
つまり、朝は1日のスタートだから、皇帝のように豪華に、たくさん食べましょうということなのだ。そして昼もまだ活動中なので王様のようにしっかり食べましょう、ただし、激しい活動があらかた終わる夕食は火を使わない、軽いものと決まっているので、言い方が悪いけれども乞食のように質素にしようと。実際に夕食は朝よりも質素に卵なしのパンとハム&チーズが多い。だから片付けに時間がいらないし、夜から始まるコンサートだ、演劇だといっても余裕で行くことができる。
食卓に並ぶ持ち寄ったパンやハム。
特に左のパン、センメルは中がふわふわで美味夜が質素な分、ウィーンっ子が大好きなのは朝食に友だちを招く「ブレックファーストパーティ」。朝6時に焼きたてのパンを買って来て、早朝からオープンしているデリカショップで数種類のハムやレバーペースト、目移りしそうなチーズの数々を食卓に並べる。特にライ麦入りの黒パンは、かめばかむほど、ほどよい酸味と香ばしさが広がる。
私がウィーンに住んでいたころは、近所の友だちを招いてよくこの手のパーティをしたものだ。私がパンを用意するから、あなたはジャムを作って来て。もう一人はデリカで数点お願いね……と分担して。
朝からやっている市場にて。
一山なんて小さいことはせず、一個ずつ売りから娘の親友のヨハンナ宅で私たち親子は朝食にお招きされた。ヨハンナは一人っ子だけど、同じマンションに母親の妹夫婦とその子供たちが住んでいるから寂しくない。今日も従弟の面倒を見て楽しそうだ。バターを塗ってあげたり、ハムをとりわけたりしてお姉さんらしくお世話に余念がない。
朝の果物も忘れてはいけない。新鮮な果物は市場で買う。異国情緒たっぷりのマンゴーやイチジクだって最近は手に入る。惹き立てのコーヒーと焼きたてのパン。お喋りがはずんでおかげさまで今日もいいスタートが切れそうだ。
朝から友人知人が集まっての朝食。
活力にもなろうものです