標高約150mのリマ旧市街にあるデサンパラードス駅から、富士山頂よりさらに1000mも高地にある標高4781mのガレラ駅を通って、最終地点3261mのワンカヨ駅まで。こんなすごい行程を12時間かけてのんびりと走る、アンデス中央鉄道の旅に行ってきた。
山を抜け、渓谷を渡るアンデス中央鉄道
機関車にお邪魔してみた。
気のいい運転士さんがにっこり
実はこの列車、ほんの3年前までは「世界一高い駅を通る列車」だったが、2006年に開通した中国の青蔵鉄道がチベットのタングラ駅(標高5068m)を通過するため、残念ながら現在は世界二位になってしまった。
本日の朝食は、丸パンのサンドイッチ
とフルーツ、ジュース、クッキー
しかしその青蔵鉄道の始発駅は、標高2275mの青海省西寧。なんだ、標高差はたったの2793mではないか。アンデス中央鉄道の標高差は4631mだぞ。青蔵鉄道には高山病対策として酸素吸引設備が完備らしいが、アンデス中央鉄道は酸素吸引どころか、高地では避けたほうがいいといわれるアルコールのウェルカムドリンクサービスまであるのだ!
どうだ、やっぱりこちらが世界一だろう? 何をもって一番というかは個人によるが、ペルー贔屓の私としては、やはりアンデス中央鉄道は世界一の列車なのである。
友人手作りのおにぎりのほうが美味しかった
列車旅行の楽しみは、何といっても食事だ。この列車には朝食と昼食のサービスが含まれている。さて何が出てくるかと期待していたが……サンドイッチとフルーツ、それにジュースのみで少しがっかり。
しかし同行した友人が、おにぎりとお惣菜を準備してきてくれていた。しかもペルーでは貴重な梅干入りだ。うん、この塩加減がいい! やはり旅の基本はパンではなく握り飯だと、ペルーの山奥で日本人であることを実感する。
破裂しそうなほど膨らんだ
ポテトチップスの袋
その後もぐんぐんと高地へ登っていく列車。リマから持ってきたポテトチップスの袋が、減圧のため風船のようにパンパンに膨らんでいた。袋を開けようとしたが、膨らみすぎてなかなか開かない。
パーーーンッ!!
物凄い破裂音とともにやっと開封。あまりの音に周りも驚いていたが、私自身がいちばんびっくりしてしまった。
列車は58の橋を超え、69のトンネルをくぐりつつマンタロ渓谷を走る。美しいアンデスの峰々と緑豊かな景色に友人との会話も弾み、12時間の長旅もあっという間に終わったのだった。