ペルーの朝食といえば、なんといっても「Pan con Chicharrón(チチャロン・サンド)」だ。丸いフランスパンにチチャロン(豚肉の素揚げ)と、サツマイモのフライやサルサ・クリオージャというタマネギのサラダを挟んだサンドウィッチで、2010年には「世界の人気朝食ナンバーワン」にも輝いている。食いしん坊ペルー人たちは、チチャロンがスペインのチュロスやフランスのクロワッサンを抜いて堂々の一位に選ばれたことが相当嬉しかったのだろう。当時、テレビや新聞では「我々のチチャロン・サンドが世界一だ!」というニュースが幾度となく紹介されていた。
私のお気に入り、週末によく利用するチチャロン専門店のチチャロン・サンド「豚肉の揚げ物」と言っても、その後味は意外なほどさっぱりとしている。レモンやトウガラシが効いたサルサ・クリオージャと一緒に食べるせいもあるが、なんといってもチチャロン自体がくどくないのだ。種明かしをすると豚肉を油で揚げるのではなく、肉に含まれる脂を利用して揚げ焼きにするから。こうすることで豚肉に含まれた余分な脂がいい具合に落ち、胃にもたれない美味しいチチャロンができあがる。
このチチャロン・サンドは休日の朝の定番メニューだ。作り方は簡単だが調理に時間がかかるため、外で買ってきて自宅でゆっくり食べる人が多い。リマにはデリバリーをしてくれるチチャロン専門店がいくつもあるので、電話一本でお取り寄せ可能。チチャロン・サンドと飲み物のセットで、二人前800円くらい。もちろん市場の屋台ならもっと安く買うことができる。
「朝食世界一!」と喜ぶペルー人たちだが、彼らはロンチェと呼ばれる夕方の軽食にもこのサンドウィッチをよく食べる。夕方にペルー人とカフェに行くと「さて、何か軽く摘まみましょう。えーっと、チチャロン・サンドでいいよね? すみません! チチャロン・サンドとコーヒー2つ!」なんてさらりとオーダーされてしまう。「私はコーヒーだけでいいんだけど」と言っても、まったく取りあってくれない。朝食にはこれくらいボリュームのあるものを食べても消化できるが、5〜6時に食べたらもうあとは身に付くだけ……。こうして私の体型はどんどんペルー人化していくのである。
友人宅でいただいたある日の朝食メニュー。
パンとチチャロン、サツマイモのフライ、サルサ・クリオージャ、茹でたトウモロコシ、モテ。
美味しかった! ごちそうさまでしたせっかくなので、日本の皆さまにもチチャロンの作り方をご紹介しよう。朝食べてもよし、夕方食べてもよしのチチャロン・サンド。個人的には昼食として食べるのがいちばんだと思っているが、美味しいのでいつ食べてもご満足いただけること請け合いである。
●チチャロンの作り方
1)豚肉は肩ロースや三枚肉など脂の多い部位を用意。4〜5cm角に切った豚肉に塩コショウ、ニンニクのすりおろしを擦り込み、フライパンに並べる
2)豚肉が浸るくらいの水を入れ、蓋をして茹でる。ときどきひっくり返しながら中までよく火を通す
3)水が完全に蒸発したら、豚から出た脂を利用して表面をかりっと焼きつけできあがり
切り分ける度に「サクッサクッ」といい音がする揚げたてのチチャロン