北米の定番ディナー「ターキーの丸焼き」をいただいたクリスマスのあとは、日本とは違った静かなニューイヤーが訪れます。年末はカウントダウンパーティーで盛り上がるけれど、年始に特別な料理がふるまわれるわけでもなく、日本のお正月料理が好きな私にとっては少し寂しいお正月となります。
ところがそんなバンクーバーで、新年の幸福を祈り日本の伝統的な臼と杵を使った餅つきのデモンストレーションが行われました。日本の文化に触れたいという現地カナダ人や、つきたての餅を食べたいという日本人がたくさん集まる恒例のイベント。日本を離れてカナダで生活する留学生や移住者にとって、ホームシックを吹き飛ばすうれしいイベントとなります。
会場内には蒸し器が設置され、もち米の蒸しあがるなんとも言えない香りが立ち込めます。待ちに待ったもち米が蒸しあがると、日本人のスタッフが慣れた手つきで石臼や木臼に開けたもち米を杵で広げて臼に押しつけ、餅つき開始。ある程度、もち米がひとつにまとまってきたところで、子供たちや希望者も参加します。餅のねばりが出始めると、希望者らが杵を振り下ろす間に、スタッフが水桶に手をつけながら、タイミングよく餅をひっくり返す恒例のパフォーマンス。初めて餅つきを経験するというカナダ人男性も、「スタッフの手をついてはいけない」と心なしか緊張気味。子どもたちも順番に参加して楽しい餅つき大会となりました。
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餅がつきあがると、ホカホカの餅は粉をまぶした台の上でいくつかに分けられた後、小さい丸餅に形成されます。会場の中には、でき立ての餅を食べようと、あっという間に行列ができあがりました。トッピングには、きな粉や大根おろし、のりなどが用意され、各自好みのスタイルでいただきます。
初めて餅を食べるというウェンディさんは、「もち米をつくと餅になる」という事実に驚きながらも「日本の神聖な儀式を体験することができて嬉しい」と、きな粉の餅を頬張りました。ただ「飲み込むタイミングが難しい」とのこと。大根おろしと醤油のコンビネーションは、残念ながらお気に召さなかったようです。
カナダでめったに食べることができない新鮮なお餅は格別です。なんと5ドルで食べ放題!何度も行列へ戻る参加者があとを立ちません。つきたてのお餅はもちろんのこと、昔ながらの餅つきパフォーマンスで日本の文化を広めながら、子どもからお年寄りまで世代や国を越えてしっかり「お正月」気分を味わうことができました。