ドバイからの甘い使者

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ドバイの風景
毎年2月のこの時期、そこかしこでチョコレート販促キャンペーンが開催される。
人が熱狂するとかえって冷静になる天邪鬼な私にとって食傷気味のイベントだったが、今年は違う。
ドバイ発、世界初のラクダミルクを使ったチョコレートが日本でも発売されると聞いたからには、じっとしていられない。さっそくチョコを探しに出かけたのだが、ふと以前、ドバイに滞在したときのことを思い出した。

ドバイというと世界一高いタワーに超高級7つ星ホテルと、なんでも建設してしまう印象があるが、その極みが『SKI DUBAI』だろう。
『SKI DUBAI』とは、「砂漠に雪は降らない」という定説を覆すべく作られた、世界最大の人工スキー場である。ドバイ市内のショッピングモールに併設され、モール内のレストランからお気軽に冬景色を楽しめるという気候・天候度外視の施設。
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SKI DUBAI
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砂漠とのギャップを見よ
ひとたび外に出ればたちまち干上がりそうな砂漠の中、室内は氷点下をキープしている。外気温との差は実に40度前後。建設当時、ドーム内の温度を下げるのに2カ月かかったとスタッフは笑う。
市外に拡がる広大な砂漠とのギャップが凄まじく、まったくとんでもないことをするものだ、と半分呆れながらスキーを楽しんだ。そんなイメージのあるドバイからの使者、お味はいかに!?

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エキゾチックな販売員
新宿伊勢丹の特設会場に着くと、売り場にアラブの民族衣装、アバヤに身を包んだ女性がたたずんでいて、すぐにそれとわかった。彼女の話によると、このチョコレートのブランド「Al Nassma」とは、アラビア語で“砂漠に吹く心地よい季節風”を意味するそうだ。海からの涼しい風は灼熱の太陽の下、砂漠を行く旅人に祝福と、つかの間の癒しをもたらすことだろう。

そんな意味が込められたチョコレートを一口味わってみると……カルダモンなどのエキゾチックな香りの中、ほんのりと塩味を感じる。
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「Al Nassma」のチョコレート

これはきっと、ビタミンやミネラルの多いラクダミルクの風味なのだろう。
ぜんざいに塩を入れると甘みが引き立つように、スパイスと混ざり合って深い風味。比較的後を引く甘さながらくどくなく、今までになくリッチで栄養価が高いチョコレートという印象を受けた。ちょっとした話題にもなるので機会があればぜひ、味わってみてほしい。

さて肝心のバレンタインだが、激務が続く友人に「Al Nassma」のチョコレートを渡しておいた。
ふと仕事に疲れた時に心地よい海からの風のような、一粒の清涼剤を味わってもらえればと思う。