プレ収穫祭!ペルーのボデガへようこそ


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鮮やかに色づき始めたブドウ。
収穫まであともう少し

ペルーでのブドウの収穫期は、日本がまだまだ寒さに震える2〜3月。今まさに真夏の太陽の日差しをたっぷり受けて、たわわに実ったブドウの実が色づき始めている頃だ。収穫前の見事なブドウ園の様子が見たくて、先日ボデガ(ワイナリー)を訪ねてきた。

リマの南約300kmにある砂漠の街イカには、大手ボデガもいくつかあるが、ほとんどが小さな個人経営のものだそうだ。
砂埃だらけの未舗装道路の両側に、ブドウ棚の鮮やかな緑が続く。「ここだよ」とドライバーに言われ下りた場所は平屋建ての古い建物があり、近所の人だろうか、昼間からブドウ棚の下で飲んでいる男たちがいた。なんとものどかな雰囲気だ。
案内された建物に入ると、中にはワインやピスコ(ペルー特産のブドウから造る蒸留酒)が入った古びた陶器の壺がたくさん並んでいた。


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年代物の壺。よくまあ倒れないものだ。

この縦長の壺の底にはへそのようなでっぱりがあり、澱が沈殿する仕組みになっている。

現在はもう生産されておらず骨董的価値があるらしいが、そう言えば壺だけでなく歴代オーナーが収集した剥製や昔の武器など不思議な物が所狭しと並べられていて、ボデガというよりまるで骨董屋のようだった。

さて早速骨董屋、いやボデガご自慢のワインを試飲させてもらおう。 最初は貴腐ワインのように甘い赤。うん、なかなかのお味、これなら食前酒にちょうどいいな。えっ?ボトル1本5ソル(150円)?それじゃボトル代のほうが高いのでは。

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壺の上に置かれたワニの剥製。
ワイン泥棒除けか?

次のワインはもう少し熟成させたものらしいが、これはちょっと雑味がある。気に入らなかったが、コップを空けようととりあえず一気飲み。しかしボデガの主人は何を勘違いしたのか、「旨いだろう、さあ、次、次!」と説明もそっちのけでどんどん注いでくれた。ありがたいが、これじゃ試飲というよりただの飲み屋だ。

まあ、いいか。プレ収穫祭だ!
そしてピスコも。
「アロマティコ(香りの強いタイプ)は、まず息を吐いてからぐいっと一気に飲む。それからもう一度息を吐くと、喉から鼻にかけて香りが残るんだよ」
まるで蕎麦屋のうんちくのようだが、それが正しい飲み方なら従おうじゃないか。まず息を吐いてから一気に…。すると身体がカッと火照り、汗がどっと噴き出してきた。なにしろこのピスコ、アルコール度数は45度、泡盛の古酒のようなものだ。確かに鼻腔に広がる香りを楽しむ事はできるが、身体は熱いし、喉も痛いし、おまけに酒臭い息に引き寄せられた蚊までうじゃうじゃやって来るしで大変だった。


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「まあもう一杯」 
笑顔で注がれるとつい飲んでしまう。

せっかくブドウの品種や作り方を勉強しようと思っていたのに。
えっ?おやご主人、また注いでくれるの?
いやいやすまない、ではもう一杯…。

と、結局飲んでご機嫌になって終わったボデガ訪問。まあ酒を飲みながら勉強しようなどというのが、土台都合のいい話なのではあるが…

ボデガによっては、収穫祭には収穫したブドウを素足で踏みつぶすイベントがあるそうだ。
その時は最初から飲むだけと決めて来ようかな。木漏れ日が美しいブドウ棚の下で地元の人と一緒に飲むワインは、さぞや旨いに違いない。