スノーフレークがトレードマーク
運河も川も凍り付いてしまう、長くて厳しいオタワ地方の冬。2月は、オタワの冬のお祭り「ウインタールード」が開催される。ウインター=冬と、インタールード=幕間・間奏曲という単語を合体させた名は、冬の中休みにぴったりなネーミングだろう。
30年ばかり前から始まったイベントというが、以前は氷上自動車レースや樽の飛び越えなど、かなり無謀かつ愉快な企画があったそうだが、現在では、氷と雪のプレイグラウンド、音と光のショー、先住民族のティピテント展示、氷の彫刻コンテストなどなど、老若男女が楽しめる穏やかなものになっている。人々は三々五々、自分のスケート靴を持って運河へと向かう。
マイスケートは必須
冬場、街の中心を流れるリドー運河が凍って天然のスケートリンクとなるのだが、氷の上に食べ物や土産物の屋台が並んだり、特設ステージが設けられたり、市民の憩いの場となる。入場料などはなく、イベントそのものも屋外であるという、至って安上がりでエコなお祭りだと言えるだろう。
この時とばかりに、オタワ名物「ビーバーテイル」、ケベック料理「プーティーン」などの屋台があちらこちらに出現し、カナダ人の生活習慣病が益々加速されそうだが、人々は列をなして買い求める。ビーバーテイルは、小判型の扁平揚げドーナツと言えば良いだろうか。白砂糖がたっぷりとまぶされていて、口の中で甘さが炸裂する。また、フレンチフライにとろけるチーズとグレービー(肉の焼き汁から作ったソース)をかけたプーティーンも、こってりしていて実は美味しい。天気の良い日中でも気温がマイナスのままという極寒オタワの冬、高カロリーで腹持ちの良い料理が好まれるのだろう。
ビーバーの尻尾を売る店ではない
これが「ビーバーテイル」というおやつ。実寸サイズ?
大作に挑戦中のコンテスト参加者たち
国会議事堂に近いイベント会場では、最初の数日、氷の彫刻コンテストの参加者らが作品作りに精を出す。ガシガシとブロック状の氷をチェンソー並みの電動工具で削るのだ。この寒さゆえ氷が融ける心配はないものの、工具や指先が凍てついてしまいそうな寒さだ。
世界遺産でもあるリドー運河、オタワ川に出る閘門(こうもん)から南へ約6km、ダウズレイクもまた凍りついていて、広いイベント会場となっている。道すがら、要所要所にオタワの歴史を語る古い写真が展示されていたり、ノスタルジックな雰囲気も楽しめるのだ。ボランティアスタッフがカナダ開拓時代の衣装を身にまとい、実演をする。この寒空の下、ああなんて辛い仕事なんだろうと気の毒になるが、当時の人々は今より簡素な造りの家屋で暮らしていたのだと、我が身の暖かさを感謝するのみ。
光彩陸離な三週間、この祭りが終われば、残りの冬もたった3分の1だ……。