夏、ようやく出会えた大きな空

バルコニーに出て外の景色を見た途端、「ここに決めた!」と決断しました。
4年前の夏、バンクーバーでアパートを探していたときのこと。夢にまで見た、大きな空と海の見えるアパートが見つかったのです。
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朝日――早朝5時過ぎの東の空
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昼間の空――昼間の空は雲が主役
古くて小さな部屋だけど、窓から海と大きな空が見えるなんてすごくラッキー! 部屋の中は全然見ないで決めてしまいました。
そのおかげで夏になると、アパートの10階の窓やバルコニーから、大きな空と海を背景にいろいろなものと出会うことができるのです。
それから4年経った今も、晴れた日は毎日夕陽が沈むまで、空と海を眺めて暮らしています。 100727_03_03.jpg
沈む夕陽――「今日もお日様ありがとう!」
夏の日没は夜9時過ぎ、夕食が済むと瞬く間に一日が終ってしまいます。それでも、夕焼けの景色を見逃すわけにはいきません。
お日様は沈む直前になると、赤々と光を増してアパートの奥まで照らし、私に日没の瞬間が近いことを知らせてくれるのです。そこで夕食の準備の手を休めて、夕陽の写真を撮ることが習慣になりました。

大きな空は、巨大なキャンバスのよう。雲が出てお日様が色を塗ったり照らしたり、素晴らしい絵を描くのです。しかも私が同じ場所に立って同じ空と海を見ているのに、太陽と雲は毎日違った絵を描いて、私に見せてくれます。ある日はチャコールグレーの厚い雲、その雲が急に茜色に変わったり、またある日は空全体がピンクに染められたり……。山側に雨が残ると虹が現れることもあるのです。そしてお日様が沈んだ後も、空には雲が華やかな色を留め、息を呑むような美しさ。
バンクーバーに来て、ようやく思いっきり大きな空を見たような気がします。夏は特に大きな空が、さらに大きく高くなる季節。刻々と変わる雄大な景色を見ると、「自然は素晴らしい、地球って美しい」と、素直に感じられるから不思議です。
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夕陽の残照――日没のあとも美しい西の空
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夜空の星―― 一番星は水星です
すっかり夜の帳が下りて、空には月や星が輝き、町に灯がともるころ、私達はようやく落着いて夕食のテーブルにつくのです。