カナダで出会った不思議な食材―ルバーブ

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八百屋にならぶルバーブ
バンクーバーに移住して5回目の夏が始まる6月初旬、一時帰国の日本から戻った私が一番先に買い求めたのは、ルバーブ(Rhubarb)という食材でした。
3年前その食材に出会って以来、毎年夏が来ると、この食材でジャムを作るのが楽しみになりました。たかがひとつの食材との出会いでしたが、私にとって夏の食生活を豊かにしてくれる素晴らしい出会いだったのです。

その食材に出会ったのは、アパート近くの小さな八百屋さんの店先でした。友人のブログなどでルバーブの存在を知り、もしかしてバンクーバーにもあるかもしれない、と探していたのです。でも赤紫の太くて硬そうな蕗のような茎が、ブログの写真で見るおしゃれで洗練されたスィーツのイメージとは結びつかず、しばらくルバーブが売られていることに気が付きませんでした。ある時、並べられた野菜の上に、「RHUBARB」と書かれた紙を見て、「もしかしてこれがルバーブ?」と思ったのですが、「RHUBARB」が「ルバーブ」なのか、自信がありません。
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リンゴ、苺などとともにジャムにしてみましょう
お店の人に「あれはルバーブ?」と尋ねると、「……?」と不思議そうな顔をするので、私が実物を指差し「ルバーブ!」と繰り返すと、「ああ、ルバーね」と言ったのです。ちょっとした発音の問題はありましたが、こうして「ルバーブ」と出会えたのです。
その日は大きなルバーブを2本買って帰り、まずネットで沢山あるレシピーの中からいちばん作りやすそうなものを探し、その通り作ってみると、ホントに美味しいジャムができ上がりました。よく洗ったルバーブを、厚さ数ミリの輪切りにして、砂糖をまぶして煮るだけ。筋張った硬い茎が、繊維状の筋とともにあっという間にトロトロに煮えてしまい、アクも少ないのでとても簡単。味見をしてみると、爽やかな酸味がなんとも言えません。初めて味わうルバーブの味でした。

数回作るうちに、ルバーブと砂糖の割合や、煮詰め具合がわかってきました。出会ってから3年たち、苺と合わせてミックスジャムにしたり、ヨーグルトやアイスクリームにかけたり食べ方のバリエーションも増えました。今やルバーブは我家の朝食のジャムや、おやつのスイーツとして欠かせない存在になったのです。

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ザクザクッと刻んでみました。
日本では漢方薬としておなじみ
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パンケーキなどに塗っても美味
ちなみに、ルバーブについて調べてみると、シベリヤ原産のタデ科の植物で、ヨーロッパや北米では古くから親しまれている、美容と健康に良い優れた食材だったのです。日本では、最近まであまり馴染みのない食材でしたが、実は昔から「食用ダイオウ」という薬用植物として利用されていたそうです。