特別なはずの独立記念日にこの静まり……一体何が起こったのか?

090716_01.jpg やってきました7月9日アルゼンチンの独立記念日!
1810年5月25日の革命から6年経った1816年の7月9日、リオ・デ・ラ・プラタ連合州(のちのアルゼンチン)がスペインからの独立を正式に宣言した。それ以後、毎年この日は、当時独立宣言が行われたトゥクマン(Tucuman)で大統領演説が行なわれ、記念式典が開催される日となった。

冬真っ盛りのこの時期、大統領演説やパレードを見ながらロクロ(豆類やトウモロコシ、肉類などの煮込み料理)などの郷土料理を頂くのが楽しみな日でもある。

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こちらトルティージャは2ペソ。
売れておりました
しかし……今年は独立記念日どころではなかった。というのも、ブエノスアイレス州で新型インフルエンザ(いわゆる豚インフルエンザ)による“非常保健事態宣言”が出されたのを皮切りに、ラテン式挨拶に欠かせないチークキスやハグ(抱擁)を「自粛」する呼びかけもなされたのだ。

他人とある程度の距離を保つことが推奨され、薬局ではマスクや消毒アルコールジェルを買い求める人の列といった珍風景が続き、街はパニック状態に。6月中旬に最初の死亡が確認されて以来、日に日に死亡者の数が増えるアルゼンチン。メキシコ、アメリカに続き一気に世界的な感染地帯となってしまったのだった。

サッカースタジアムや映画館は営業を続けながらも、観客席はひとつ置きに空けて座る措置が取られ、劇場やダンスホールの一時的休業が発表されるなか向かえた今年の独立記念日。そのため公式なイベントの多くは中止された。

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オープンエンパナーダはひとつ2.5ペソ
(約60円)。チーズの種類が豊富なのでどの
チーズを選ぶかも楽しみのひとつ しかし晴天の当日、真冬の太陽を浴びようと皆それぞれの形でこの特別な日をできる形で楽しもうとした。私達も海岸沿いに面する国立自然公園に行きチョリパン、トルティージャ、ミルフィーユなどを屋台で買って浜辺に寝転びながらゆっくりと過ごした。お気に入りのオープンエンパナーダも欠かさずゲット。
普通のエンパナーダは中身(ひき肉の混ぜ物、ハム&チーズ、コーン、トマトなど)がパイ生地に包まれているが、オープンエンパナーダはその名のとおり中身がオープンになっていて、チーズが溶ける模様をふんだんに楽しめる。シャンピニオン 、トマト、4種類チーズなどのオープンエンパナーダを買った。

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スペイン語ではミル・オハス=
「1000(mil)も重なった葉(hoja)」
というお菓子は、いわゆるミルフィーユ お祭りムードに沸くはずの記念日だというのに、新型インフルエンザの揺さぶりが外出そのものにも不安をひき起こし、この日は静かに終わらざるをえなかった。しかし、1年後の今日は建国200周年を祝う特別な独立記念日。

今回新型インフルエンザが喚起した課題を受け止め、ビセンテナリオ(建国200周年)のお祭りが存分に楽しめる社会基盤を一刻も早く取り戻してほしいと願う。祭りは安心した市民生活のコンセンサスの延長で実施できるのだから。