ペルーでのジャガイモの収穫時期は4〜5月、そして5月30日は「ジャガイモの日」だ。
この日に合わせて各地でイベントが行なわれるのだが、ちょうどリマのスルコ区で「Festival de la Papa(ジャガイモ祭り)」が開催されると聞き、さっそく祭りの初日に出かけてみた。
会場には珍しいジャガイモがいっぱい! 黄色、薄茶色、オレンジ、赤、紫、黒、斑点模様など個性豊かなジャガイモたちは、まるで宝石のようにきれいだ。
祭りを盛り上げるユルキャラ、
ジャガイモトリオがお出迎え! これらのジャガイモを栽培しているのは、中央アンデスのフニン県ワサワシ村。見本として並べられたジャガイモの数だけでも100種類近くあり驚きだったが、ワサワシ村では約450種類ものジャガイモを栽培しているという。
リマ市内でも数種類のジャガイモが売られているが、こんな珍しい、しかも産直のジャガイモを安く買う機会は滅多にない。1キロ当たり2ソル(70円弱)のジャガイモは飛ぶように売れていき、しまいには麻袋に入ったままのジャガイモを勝手に床に広げ、どんどん袋詰めするセニョーラまで現れた。
色も形も様々なジャガイモたち。
サツマイモのような赤いジャガイモもあり 午後から祭りの開会式が執り行なわれ、この祭りを主催したスルコ区の区長とワサワシの村長の挨拶があった。村から200キロものジャガイモが区に贈呈された後、角笛の合図とともに村人による歌や踊りが披露されると、会場が一気にアンデスの雰囲気に包まれる。
この後このアンデスのジャガイモを使った料理が来場者に無料で振る舞われるとあって、すごい人だかりができていた。この日のために2000人分用意したという「ジャガイモのスルコ風ソース」。茹でたジャガイモにタマネギ、トマト、唐辛子、チーズ、オイルなどを混ぜて作ったソースがかけてある。
ドーンと並べられた「ジャガイモのスルコ風
ソース」を、 ドドーンと皿に盛って召し上がれ 警備員に「撮影させてくれ」と頼むと、ラッキーなことに来賓のお偉方に続いて柵の中に入れてくれた。
ずらりと並んだジャガイモ料理は壮観だ。スタッフが2〜3種類のジャガイモを乗せたお皿を渡してくれるので、それを持って外に出て食べる。
……という手筈だったのだろうが、呆れたことに、みんなその場で食べてはどんどんお代わりをしていた。隣にいたセニョーラはすでに3人前はあろうかと思われるジャガイモが皿に乗っているにも関わらず、まだ追加を頼んでいる。
こんな調子では、せっかくのジャガイモ料理も予定の半分、1000人くらいにしか行き渡らないだろう。まあ、ジャガイモを見ると食べずにはいられないという、ペルー人の性なのかもしれない。
ハープやバイオリンのリズムに合わせ、
軽快に踊る若者たち。 ジャガイモの収穫が終わると、南半球のペルーは本格的な冬を迎える。今回食べたジャガイモのスルコ風ソースは唐辛子の辛みがぴりっと効いてとても美味しかったが、残念なことに温かい料理ではない。そろそろ寒さも厳しくなってきたことだし、来年の祭りではほかほかと温かいジャガイモ料理を振舞ってほしいものだと思ったりしている。