大山脈の小さな町


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高速道路から見たフィールド

「一度は行くべき」、「日帰りじゃなく、ぜひ1泊はしてきてほしい」、「一番好きなロッキーの町」……。
友人からの賛辞が絶えないブリティッシュコロンビア州の町、フィールド(Field)。ヨーホー国立公園内にあるこの町に、どうせならまだスキーやスノーシューの楽しめるうちに、と1泊旅行に出かけた。

カルガリーからカナディアンロッキーのなかを運転すること2時間半、そろそろ到着するはずなのに町のようなものは見えない。さらに40分ほど進むとどういうわけかフィールドの次の町、ゴールデンに着いてしまった。
そんなはずは……。
目を凝らしながら来た道を戻ると……ありました、「フィールド」のサインが。よく見てみるとたしかに山の麓に家々が。
「小さいっ!!!」
住宅も全部で30―40件ほどだろうか? こんなにこじんまりとした町だとは思ってもみなかったので、これでは通り越したのも無理はない。そういうことにしておこう。



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宿の窓から見える山景


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町の「中心」

さて、街中に入ってみると……やっぱり小さい(笑)。
道は東西に5本、南北に3本ほど通っているのみで、宿泊先のB&B(Bed & Breakfast、日本の民宿に近い)は地図なしですぐに見つかった。私たちの泊まった宿は山側の高台にあるため眺めが最高。キッチンには料理用具一式そろっており、広々としたリビングにはたくさんの本やDVD、ビデオが備えてある。ここで山景を楽しみながらまったり読書というのも悪くない。


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線路沿いを歩くエルク

悪くはないが、快晴にも恵まれたので、町散策に出かけた。多くの家がB&B をやっているためか、こぎれいでかわいらしい家が多い。360度山に囲まれた町の北西を線路とキッキングホース川が通る。凍った川の上で犬の散歩を楽しむおじさん。 線路の脇にはエルクの群れが進む。スキーから帰って来たばかりなのか庭で話し込みながら時間をかけてスキーの手入れをしている親子。ここでは静かにゆっくり時間が流れているようだ。中心部(いちおう)に出ると、町に2軒しかないレストランが見えて来た。「Truffle Pigs Bistro」でかなり早めの夕食。小さな町とあなどることなかれ、このレストランは内装も料理もとてもおしゃれ。メニューもカジュアルなサンドイッチから前菜、主菜と分かれたコース料理まで豊富に揃い、ワインやビールのセレクションも広い。頼んだサンドイッチやスープ、ステーキはすべて美味だった。



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七面鳥のお肉がギュッとつまったサンドウィッチ


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前菜のクラブケーキ(西洋風カニコロッケのようなもの)

同じカナディアンロッキーの町、バンフやジャスパーなどでも存在が避けられないマクドナルドやスターバックス等のチェーン店とは縁のないのどかさ。カナディアンロッキーでもっとも美しいと評されるオハラ湖やエメラルド湖、カナダでもっとも高い滝のひとつ、タカカウ滝に日帰りで行ける便利さ。
小さな町の良さと観光地ならではの魅力がギュッと凝縮されたフィールド。人口200人のこの小さな町に出会い、そして一目惚れしてしまった雪の残る初春の週末だった。