イギリスの首都・ロンドンから列車で4時間半。私が住むスコットランドの首都・エジンバラに到着します。ご存知のとおり、イギリスはイングランド・ウェールズ・北アイルランドとスコットランドの連合王国で、スコットランドにもちゃんと首都があるんですね。
何の変哲もないパブリック・パス
にもワラビが生え放題!
スコットランドといえばスコッチ・ウイスキーが有名ですが……なんと日本でもおなじみの山菜が自生しています。信じがたいことですが、スコットランドではちょっと田舎に行くと、ワラビがワンサカ生えているのです! ワラビは日本独特のものだと思っていたので、スコットランドで初めてワラビを見つけた時には大感激したものです。しかも、1本とかではなく、まさに生え放題なのですから。
先日、ハイキングがてらにワラビをたくさん摘んできましたが、イギリスでの友人は一様に「そんなもの食べられるの!?」という顔と声…。イギリスではワラビはブラッケン(bracken)と呼ばれていて、「有毒のシダ類」として知られています。なにせ『有毒』ですから、イギリス人はワラビを食べるどころか、家畜にも与えていないんです(笑)。
採りたての新鮮なワラビ。
なので、イギリス人の彼らが驚いたのも無理はないのですが、あまりの驚かれように「本当にワラビなのか? 食べても大丈夫なのか?」と確信が持てなくなり、植物図鑑などで調べたりしつつも「ワラビを採って食べよう!」という勇気は昨年までありませんでした。
ただ、そんな折、度胸のある日本人の友人の1人が「ワラビを採って食べてみたけど、おいしかったよ!」と言うじゃないですか。さっそく、友人にアク抜きの仕方や調理方法を伝授してもらい、私もワラビ料理にチャレンジしてみました。採ったワラビには、重曹(ベーキングパウダーでも可)を適量振りかけ、熱湯を注いでアク抜きをします。柔らかくなりすぎると美味しくないので注意しつつ、タッパーなどに水を張って保存するか、冷凍してしまえば長持ちします。
ワラビ煮びたし。ワラビ料理、
初挑戦の私にも簡単に出来ました!
採れたてのワラビは醤油とかつおぶしをかけておひたしにしたり、味噌汁の具としてもおいしい! そして食べ切れなかった分は、煮びたしにしておくといろいろと応用できて、スコットランドの地でもとても重宝します。
作り方は超簡単! 適当な大きさに切り、薄めためんつゆに漬けておけば、即席の煮びたしの完成です。山菜うどんやそばのトッピングにもよし、ご飯に混ぜて山菜おこわにしてもよしです。特にワラビのおこわは香りも楽しめて、一段と美味!
ワラビの山菜おこわ。油揚げやたけのこ
を入れてもおいしいかも。
ワラビといえば、小さいころによく両親と一緒に近所の山へ採りに出かけたものです。土から頭を出したばかりのものが柔らかくていちばん食べ頃なのですが、それを1本見つけるのにさえとても苦労をした記憶があります。家族全員で長時間粘っても収穫はわずか…。でも、季節のものを収穫して食卓に並べる、というあの幸せな気持ちを、大人になってエジンバラで鮮やかに思い出しました。
「やっぱり日本人なんだわ〜」としみじみと感じながら、今年はワラビをタップリと堪能していただきました。また来年も、山に春探しに出かけよう。