別れは辛いがバザーは楽し。去るも送るも大忙しの3月

リマに住む日本人にとって、3月は送別会の月。海外駐在員の帰任時期というのは企業によってむろん異なるが、ちょうど学校の卒業入学シーズンでもあり、やはりこの時期に本帰国する人が多い。会社での送別会に始まり友人同士、子供同士と、この時期は別れを惜しむ会があちこちで催される。


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新学期が始まる3月。
新しいカバンや教材を揃えるのに大忙しだ。

奥様は引越し準備に追われて大変だ。国内引越しでも面倒なのに、ペルーからの船便となると日本到着まで2ヵ月はかかってしまう。船便、航空便、手荷物と分けるのでさえ大変なのに、南半球は日本と季節が逆なので、今着ている服は帰国直後から使えなくなる。その上電圧も違うので、こちらで買った家電もほとんど不要だ。
こうして大量に発生した「まだ使えるけど、持って帰れないもの」を処分するため、送別会の合間を縫って自宅でバザーを開くのだ。売り手は不要な物を少しでもお金に換えて、買い手は安くていい物を狙って。
だから3月はバザーの月でもある。


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バイキング形式で好きな物を少しずつ。

3年間を共に過ごした友人も今回本帰国が決まり、バザーを開催することになった。明るく朗らかで人気者だった彼女の帰国とあって、寂しさも募る。
「どうせバザーをするならついでに飲みながら」という話になり、それぞれおつまみやお酒、そしてバザーでの戦利品を持って帰るべくエコバッグまで持参して、「バザー&食事会」が開催された。

友人宅に到着すると、テーブルには料理上手な友人ならではの手の込んだ料理が並んでいた。タコのマリネにカプレーゼ、ゴボウのきんぴら、イカ飯など。揚げ野菜を浸した出し汁は鰹節のいい香りがして、それだけ飲んでしまいたいほどの一品。もったいないからとインスタントをチビチビ使っている我が家では、なかなか味わえない本格的なものだった。


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テーブルやソファーに並ぶバザーの品々。
選ぶ目は真剣そのもの。

他のメンバーも負けず劣らずのコシネラ(シェフ)たち。ビールやワイン片手に「これ、どうやって作るの?」と情報交換を怠らないところも、女友だちならではだろう。

ところがいつも飲みだすとそのまま動かなくなるメンバーも、この日だけは腰が軽い。
そう、やっぱりバザーの品が気になるのだ。 「ねぇ、ちょっと見てきていい?」と一人が言うと、全員がさっきまで飲んでいたとは思えないほどの素早さで立ち上がる。
服は試着してサイズ確認、家電は使い方をチェック、食器も大人気だ。


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ずっと欲しかった
無煙フィッシュロースター!

ちなみに私の今回の最大の戦利品は「無煙フィッシュロースター」。日本製なので変圧器は必要だが、こんな素晴らしい物はペルーにはない。その他にも海外では貴重な文庫本や日本の食材も手に入れ、飲んで買って大満足のバザーが終わった。
今回のバザーに参加できなかったメンバーも含め、近いうちに再度彼女の送別会を行う予定だ。さて何を作ろう?せっかくだからこのフィッシュロースターで何か一品作ろうか。やっぱり3月は送別会の月。寂しいけれど、できる限り盛大に彼女を見送りたいと思う。