【乗り物あれこれ】札幌っ子が”電車”と呼んだなら……

北海道の地方都市で育った私は、当時まだ国鉄であった列車を、大学入学で上京するまでずーっと「汽車」と呼んでいました。

そう、北海道では国鉄函館本線の電化が1968年と遅れたため、国鉄の列車はすべて蒸気機関車あるいは気動車であったことから、永年にわたり、総称して「汽車」と呼ばれていたのでございます。

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札幌市電の基本は緑色の塗装
……とはいえ、北海道にも昔から「電車」と呼ばれる乗り物は存在しておりました。それが、札幌の中心部を走る路面電車である市電です。「市電」と呼ぶ地元民もおりますが、札幌っ子にとっては「電車」の呼び名がごくごくフツー。札幌市交通局の一部刊行物などでも「電車」と表記されていたり、現在も『西4丁目』と『すすきの』の停留場では「電車のりば」と表示されているくらいであります。

その歴史を紐解きますと、1918年(大正7年)に札幌電気軌道として開業、1927年に市営化されました。最盛期には札幌市内の東西南北を結ぶ総延長25kmあまりの路線を有していましたが、バス、マイカー、地下鉄への転換で利用客が減少し、現在は西4丁目―すすきの間、約8.5kmの袋状路線が残るのみとなっています。

そんな肩身の狭い時代を、それでも逞しく生き抜いてきた「電車」にも近年スポットライトが当たり始めました! 2005年8月、まちづくりの中で市電を活用する方法について学識経験者や札幌市幹部が話し合う「さっぽろを元気にする路面電車検討会議」が発足。そして、2015年春を開業予定に札幌市電の延伸が決定!! 現在の起点・終点となっている西4丁目とすすきのを接続する路線を敷設し、途中に「狸小路」の電停を新設するとのこと。延長距離は400メートルにすぎませんが、これで市電は環状線になります。メインストリートで路面電車が走ると交通混雑につながると、日本ではどちらかといえば公共交通機関としては不人気な路面電車。その新線を繁華街の真ん中の駅前通に敷設する札幌市の決断は、地方都市の交通網改革に一石を投じるかもしれません。さらに、国土交通省道路局の「LRT(次世代型路面電車システム)」導入支援の流れの中で、2013年5月には新型低床車両が運行開始され、地元に話題を提供しました。

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これぞ! 札幌市電の新型低床車両 A1201号車「ポラリス」。
札幌市電車輌としては初の冷房装置を搭載
現在の袋状路線での旅は約45分。途中、藻岩山ロープウェイへの最寄り駅を有する観光の移動手段としても楽しく情緒あふれる「電車」がこれからどんな進化を果たしていくのか、札幌っ子たちは見守っています。

あっ! ちなみに「電車」を使って藻岩山観光する方は、電車内に置かれているロープウェイともーりすカー(ミニケーブルカー)往復1700円(大人)が1500円(2014年3月現在)になる割引券ご利用をお忘れなく〜。