アイヌ語由来の名勝地で海を愛でる――地球岬


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酷暑に見舞われている日本列島……この夏は、避暑に北海道旅行を選んだ方も多いのでは……? そして、いざ、北の大地に足を踏み入れると、独特な地名の数々。

北海道の地名は、アイヌ語に由来したものを漢字に置き換えたものがほとんど。例えば、長万部(「オ・シャマンベ」=ヒラメのいるところ)、知床(「シレトク」=大地の行き詰まり)、稚内(「ヤムワッカナイ」=冷たい水の出る沢)などなど。ネット情報によれば、道内でアイヌ語に由来していない市名は五つしかないとか……。ちなみに、その中のひとつ、函館は、津軽の豪族・河野政通が宇須岸(「ウスケシ」=湾の端)と呼ばれていた漁村に館を築き,この館が箱に似ているところから「箱館」と呼ばれることになったそうな。


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地球岬のシンボル、白い灯台

そして、今回の舞台となる室蘭は「モ・ルエラン=(小さな・下り坂)」が語源。「鉄のマチ」と呼ばれ工業都市のイメージが強いのですが、実は高さ100メートル前後の断崖絶壁が約14キロも続く、風光明媚な景勝地を持つ観光都市でもあるのでございます。

その中でも、人気のスポットが「地球岬」。朝日新聞社主催の北海道の自然100選で得票第1位となり、一躍全国区の知名度となった名所です。元旦には、根室の納沙布岬とともに、初日の出を見ようと道内外からたくさんの人が集まります。

はい! この「地球岬」もご多分に漏れず、アイヌ語由来の地名でして、ポロチケップ (親なる断崖)から派生したチケウエ→チキウに「地球」を当てたとのこと。ここから見える風景で「地球は丸い!」を実感……という宣伝文句を思えば、理にかなった当て字ですね〜♪

この地球岬の東隣には、アザラシの岩を意味する「トッカリショ」がそのまま地名に使われている名勝があります。「月に憧れた魔の神(ニツネカムイ)が自分も月になって夜を支配しようとして、魔の神が月明かりの美しいある夜に、日の神から盗んだ光の衣をまとって現れたため、夜空に月がふたつ輝いていた。これを見たアイヌの人々が異変に気づいて騒いでいたところ、文化の神のオイナカムイが現れて魔の神の仕業と見抜き、銀の弓で銀の矢を放って魔の神を射落としたので、再び平和が戻ってきた」というアイヌ伝説が残っており、神秘的な雰囲気を感じる場所です。


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断崖絶壁の景勝地、トッカリショ

灼熱の太陽で輝くブルースカイ、ブルーオーシャンも夏らしくていいですが、北海道特有の少しひんやりとした朝もやの中で眺める海の光景は、南国のリゾートオーシャンとは趣を異なる、ミステリアスな「涼」を感じさせてくれます。

ちなみに、この工業都市・室蘭。グルメにとっても魅力満載!でありまして、豚と玉ねぎを配した「室蘭やきとり」、札幌の「みそ」、函館の「塩」、旭川の「しょう油」に肩を並べる「室蘭カレーラーメン」、北海道唯一のうずら卵生産農場があり、室蘭市指定特産品であるうずら卵を使ったアイスクリームやプリンなどなど、特筆すべきものは多く……ですが、あくまでも「海」がテーマの特集ですから、グルメ紹介はここまでとして……ご当地グルメはやはり、ご当地を訪れた際にご堪能くださいませ。

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冷気漂う朝もやの中で優しく輝く光に、しばし目が釘付けになります