フィンランドの卒業シーズンは、遅い春とともにやってくる。なかでも高校卒業は5月1日のヴァップ(Vappu、メーデーの祝祭)という春のイベントともからんで一般の人々をも巻き込む一大行事だ。
高校卒業時に戴く学帽「ウリオッピラスラッキ」と卒業証書フィンランドの高校卒業イベントは2回ある。1回目は2月中旬の授業終了日。その後、学生たちは4月に実施される卒業試験に向けての準備にそれぞれ専念する。これは重要な国家試験で、これにパスしないと高校を卒業したことにならない。試験終了後、5月に高校を卒業する。
こちらヴァップの女子会この国家試験に合格すると、高校卒業資格としてウリオッピラスラッキ(Ylioppilaslakki)という白い帽子をかぶることができる。日本の学生帽と似たような形で、内側はフィンランドの国旗の色、白と青だ。
記述中心で総合的学力が問われる卒業試験はとても厳しく、合格のしるしである帽子をかぶることは、とても誇らしいことなのだ。卒業式の後には、たいてい親戚や友人を家に招待してパーティーをする。この帽子をかぶって卒業資格証明書と赤いバラを持っての記念撮影が定番だ。
5月のヴァップが近くなると、高校生だけではなく大人たちもこの帽子をかぶって街を歩く。1810年から始まったこの帽子の伝統、かつては教育を受けたあかしとして上流階級の自慢のしるしだった。今では、高校を卒業する人の数が増え、「自慢」としての意味は消えたかもしれないが、それでも正規の教育を修了した印として皆がこの帽子を誇りに思うのは、教育大国のフィンランドらしい。
すでに大学生の彼ですが、
ウリオッピラスラッキを被ってもらいました5月1日には、この帽子をかぶった人々が公園に毛布を敷いて、発泡ワインやビール、たくさんの料理を広げてピクニックを楽しむ。もう少しすると、小中学生も学校が修了して6月から2カ月半の長い夏休みに入る。まだまだ肌寒くても、夏はもうすぐだ、という喜びに満ちていて、この時期フィンランド人はちょっとはじけてしまう、とか。