本日の1杯 vol.5【まずは柑橘系風味の”生”白ビールでのどを潤す】

バーホッパーも、まずはビールで一杯という気分の時がある。そんな時は、やっぱり生がいい。モルツやヱビスも捨てがたいが、メニューにあるならヒューガルデンは外せない。五反田のアイリッシュパブ「ザ グラフトン」には生ビールが12種類もあり、もちろんヒューガルデンもラインナップ。
国道一号線から1本裏に入った地下にある、創業10年の渋い店だ。黒ビールとフィッシュ&チップスを味わいたくなったら訪れている。


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ヒューガルデンはベルギーのホワイトビールで、麦芽にしていない小麦やオレンジの皮も材料に加えているのが特徴。さわやかな口当たりで、柑橘系の風味がある。日本のビールに慣れきっていると少々違和感があるが、ウィスキーやブランデーなどの濃い酒の前、もしくは間に飲むならぴったり。大きな専用グラスに出てきたヒューガルデンをぐびり。居酒屋じゃないので、ぷは〜!とは言えないが、目をつぶって五臓六腑に染み渡る白ビールを満喫する。決まって、どこでも「美味しそうに飲みますねぇ」と珍獣を見るような目で言われる。美味しいんだからしょうがない。

さて、この「生」だが、一般的にはビールサーバーから注いでいることを指す。もうそれで通っているのだから、それでよいのだが、ホントの所を覚えておいても損はない。「生ビール」とは、熱処理をしていないビールのこと。昔は長持ちさせるために熱殺菌をしていたが、技術の進歩でそのまま瓶や缶に詰めてもよくなったのだ。そのため、熱処理をしていないビールは全部生ビールというわけ。瓶も缶も、居酒屋やビアホール、ショットバーの樽の中身も全部同じ。瓶ビールと生ビールとメニューに分けてあるのは本当はおかしいのだ。ただし、生ビールを頼んだ人に「そうじゃないんだよー生ビールってのはね……」なんて一席打つと嫌われるので注意したし。


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いや、生ビール(サーバーから注いだビール)の方が断然旨い!という意見もある。もちろん!筆者も同意見だ。これは、鮮度と泡が原因と思われる。回転率がよい店なら樽が新鮮だし、グラスをキレイに洗い、細かい泡が2〜3cm積もっている状態は瓶や缶では作りにくい。やっぱり、割高でも生が美味しいと思ってよいだろう。ただし、注意が必要。グラスの洗いが十分でないと泡の立ち方が不十分になるし、当然不衛生だ。さらに、ビールが通るチューブを毎日洗っていないところは味も落ちる。ちなみに、激安の個人居酒屋などでは何ヶ月も洗わないなんてことも。そんなビールは、のどが渇いていても、飲みきれないほどまずい。外から見て、チューブの内部に汚れているようなら、おとなしく瓶のビールを頼んだ方がよいだろう。

もちろん、多数の生ビールを用意しているグラフトンは、最高の状態でヒューガルデンを飲ませてくれた。すぐに空いてしまったので、次は新潟のスワンレイクビールを飲んだ。クリーミーな味わいの黒ビールで、ビールのオリンピックとも言われるワールド・ビア・カップで日本メーカー初の金賞を獲った実力派。味が濃いので、連続して何倍も飲むことは少ないが、なければないで寂しくなるほど癖になる。

ビールはハイペースになりすぎて危険だ。アルコール度数が低いのでがぶがぶ飲んでいると、そのうちウィスキーが入らなくなる。さて、そろそろバーをホッピングして、マンハッタンでも飲みに行こう。


【ザ グラフトン】
東京都品川区西五反田2-26-5伊藤ビルB1