スイキンチカモクドッテンカイメーイッ――冥王星

「スイキンチカモクドッテンカイメイ
漢字を当てれば「水金地火木土天海冥」である。そう、太陽系の惑星で太陽から近い順を覚える“暗号”だ。いきなり余談ながら日本では義務教育中にとかくこの手の、「富士山麓にオウム鳴く」とか「水兵リーベ……」とか「セキトウコウリョクセイランシ」とか、語呂合わせ的な記憶法が転がっているが、これは外国でもあるのだろうか。ちなみに最後に挙げた例はあまり馴染みがないかもしれない。漢字にすると「赤橙黄緑青藍紫」。これ虹の7色ですね。

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冥王星はまだ想像図しかありません。
冥王星と第1惑星のカノンの想像図
(ヨーロッパ南天文台のもの。Wikipediaより)
さて、「水金地火木土天海冥」の“メイ”、冥王星が発見された日とされているのが明日の2月18日、1930年のことである。
冥王星の発見は、1846年の海王星の発見が大きく関わっている。それ以前は太陽系の最果ての惑星であった天王星の惑星軌道に微妙なズレがあると気付いた天文学者たちは、そのズレを引き起こす天体が天王星の外側にあるのではないか? その仮説とともに調査を進めて海王星の発見に至った。冥王星も同じで、海王星の軌道の乱れはその外側に……と仮説を立て、米国の天文学者クライド・トンボーが「2週間の間隔を置いて撮影した同じ位置の天体写真」を比較することで、冥王星の発見と相成った。

ところが。
現代科学や数学が発達したいま、実は天王星の軌道のズレも海王星のそれも、どうやら勘違い(笑)だったということになっており、冥王星(ひいては海王星も)の発見は言ってしまえば偶然、幸運の産物だったのである。
その反動なのかどうなのか、実は月よりも小さい冥王星(月=直径3426km、冥王星=2274km)は、近所にもっと大きな天体・エリス(NASAによると直径2400km前後)が発見されるなど今度は不運に見舞われ、2006年の国際天文学連合の総会にて定められた「準惑星(大きさ以外にも区分け基準がもちろんある)」という区分けに移動となり、太陽系第9惑星ではなくなってしまった。このとき、冥王星は太陽系の惑星で唯一の米国人による発見だったので、米国内で冥王星はとても愛着のある天体であり、「冥王星は惑星である」というキャンペーンが根強く行なわれたそうである。

というわけで、冒頭に記した暗号は現在「スイキンチカモクドッテンカイ」で終わってしまう。なんか締まらない気がするのは筆者と米国人くらいだろうか(笑)。