今冬、記録的な豪雪に見舞われた北陸地方。かつて筆者が某鉄道会社にて駅員をしていた際、同社が経営する新潟県の越後湯沢にあるスキー場にまったく雪が降らず、1日刻みでシーズンオープンを遅らせていたという経験があるが、数年の範囲でこの激しすぎるギャップ。単純な言い方だが、やはり地球は異常気象となっているのかもしれない。
さて、今回はこの北陸地方、そして新潟県にスポットを当てたおはなしを。
石川県を除く北陸の三県である「福井県、富山県、新潟県」は、廃藩置県前の旧国名がそれぞれ「越前、越中、越後」である。これは古代日本の歴史書である『日本書紀』の昔からこの地域一帯を「越国(こしのくに。現在の石川県である加賀、能登、福井県東部の若狭を含むとされる)」とされていたのを7世紀末に分割。“前・中・後”を付けて、それぞれの国名となった。
で、ここでもうひとつ。
その越後国では、現在の直江津などの街がある「上越」、湯沢や長岡の「中越」、新潟の「下越」にさらに区分けされている。
この“前・中・後”、そして“上・中・下”。これを踏まえて地図の画像をご覧いただきたい。
右手になる文字通り上越市のエリアが「上越」。
そして長岡などが「中越」で、新潟などが「下越」
まず越後の国の“上・中・下”だが、一般的な北方が上になる地図上で上にあるのが下越で、下が上越となっている。そして北陸の“前・中・後”……。
福井県が「越前」、富山県が「越中」。
ちなみに石川県は「加賀」と能登半島の「能登」
なにゆえ福井県が前で、新潟県が後なのか。さらに上越が下で下越が上なのか。
その答えは「天皇の御座所に近いほうが前であり上」。現在、天皇がおわすのはごぞんじの通り東京だが、明治以前は京都や奈良など近畿圏に皇居があったのもごぞんじの通り。そのため新潟県より近畿圏に近い福井県が越前、新潟県内でより近畿圏に近いエリアが上越となったのだ。
これは戦国時代に都を目指した際に使われた「上洛」や、現在東京にやってくるのを「上京」と言うことも同じである。