明日2月11日は国民の祝日「建国記念の日」である。今年は土曜日ということで振替休日ともならず、休日が減ったとお嘆きの向きも多いことだろう。ちなみに今年は同様の事態があと3日もある(こどもの日、秋分の日、文化の日)。ご愁傷様でした。
さて今回はそんな建国記念の日のおはなし。
建国記念の日は「国民の祝日に関する法律第2条」によって「建国をしのび、国を愛する心を養う」と規定されている祝日だが、そもそもなにをもって“建国”としているのだろうか。
神武天皇(月岡芳年『大日本名将鑑』より)
これは古代日本の歴史について記されている『日本書紀』にて、初代天皇(ちなみに今上天皇は125代目)である神武天皇が紀元前660年に即位した日とされている。もともとは「紀元節」という祝日として明治5年(1872年)に制定されたが、昭和23年(1948年)にいったん廃止となった。このときは宮中の祭祀に関連する祝日がほかにもいくつか廃止されており、戦後の体制変化に倣ったことがうかがえるが、数年後から再制定の動きが活発化。昭和32年(1957年)に当時与党の自由民主党から“建国記念日の制定”に関する議員立法として提出されたが、「神武天皇の即位日の学問的根拠が薄い」、「先の大戦が神武天皇の東方遠征になぞらえて行なわれた」などの反対意見が当時野党の日本社会党などから出されて廃案となる。
その後も法案提出→廃案を9度も繰り返した末、「日付の決定は学識経験者による答申を経る」などの条件で社会党も賛成に回り、昭和41年(1966年)6月に法案が成立。同年12月に出された審議会の答申を経て、日付も2月11日に正式に決定した。
こうして現在の建国記念の日が誕生したわけだが、設置に関して提出された法案などでは「建国記念日」という名称になっている。これがなぜ「建国記念“の”日」になったのか。
実はこれ、反対派への妥協策で「建国記念“の”であれば、『建国=神武天皇即位の日』ではなく、『単に日本が建国された事実』を祝うとも考えられる」という、恐るべき玉虫色の解釈を成り立てたためである。なんとまあ(笑)。
最後に余談ながら、“建国記念の日は神武天皇の即位日から来ている神道での祝日”という考え方から、キリスト教系の学校法人などでは制定に反対の意見が出されたり、制定後の現在も学校に集まって宗教や教育に関する対話の日にするなどの活動をしている学校も多いとか。
ちなみにこの話は筆者が在学したキリスト教系高校にて当時の担任の先生と、現在の校長先生に教えていただきました。ありがとうございました。