豆まきそして恵方巻――節分あれこれ

今日2月3日は「節分」である。
節分というのは文字通り“季節を分ける日”ということで、暦の上で「今日から春ですよ」とされる「立春」の前日を指す。……ということは、立夏、立秋、立冬の前日ももちろん節分なのだが、立春の前日を特に節分と呼ぶようになったのは江戸時代前後だそうである。

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豆まきの模様。こちらは成田山新勝寺
節分といえば「鬼は外、福は内」の掛け声とともに行なわれる「豆まき」。季節の変わり目には邪気(邪鬼)がやってくるため、そのお祓いで豆(魔滅)を撒くという風習である。大手(?)の寺社仏閣がタレントや力士、プロレスラーなどを招いて豆まきを行なっている様子でおなじみだが、この豆まき、室町時代の文献にその様子が記されているのが最初とされている。また、「鬼は外、福は内」の掛け声は室町時代の僧、瑞渓周鳳が口にしている様子が瑞渓周鳳の日記『臥雲日件録』にある。ちなみに「鬼は外」については、鬼を神として祀ってある神社や、“鬼沢さん”など鬼の字が名字に入っている家が多い地区などは、「鬼は内、鬼も内」と唱える場合もある。

この豆まきと並んで、節分の風習として近年認知度が上がっているのが「恵方巻」。節分の夜、一年の“福”を司る神・歳徳神のいる方向とされる「恵方」に向かい、太巻き寿司をまるかぶり(それ故「まるかぶり寿司」とも呼ばれる)する風習で、無病息災、商売繁盛を願う……とされているが、元々は近畿圏発祥とされているくらいで、発生には諸説がある。近畿圏が拠点の大手スーパーチェーンなどを中心に、1990年代前半ころから徐々に西日本一帯→全国展開されてきた流れがあるようで、全国的な知名度を得たのはここ10年ほど。ひとつの風習ができあがるというのは歴史的意義のあることだと感じる反面、“バレンタインデー”を「お菓子業界の作り出したブーム」と揶揄するように、「コンビニとスーパーがうまくやった」という意見や、東日本地区の寿司屋などでは「聞いたことない話」など、否定的な声も少なくない。

なお、「節分は2月3日」というのが一般的だが、暦の二十四節気は地球に対する太陽の位置(こちらを参照)で分けられている。太陽の通り道=黄道が傾いていることや、閏年があることで、春分が2月5日や3日になることも希にある(計算上は2025年以降に3日になる年が出現する)。その際には当然節分も2月4日や2日になったりする。