先日、日本列島にやってきた台風12号。当初、関東地方を直撃すると予測されたが、速度の遅さなどから迷走を続け、結局は四国沖から中国地方に上陸。その後も東日本の広い範囲で大雨が続き、死傷者100人を越える甚大な被害をもたらすことになった。
さらに、その少し前の8月下旬、アメリカでもハリケーン(台風)「アイリーン」がアメリカ北東部で猛威を奮った。
太平洋の西と東で自然の驚異に晒されたここ数週間であるが、今回はそんな「12号」や「アイリーン」という台風の名前についておはなししよう。
日本で言うところの“台風9号”、「アイリーン」。
フロリダ沖から東海岸に迫る様子まず日本の場合、単純に「その年に北西太平洋または南シナ海で台風が発生した順」に、「平成23年台風第1号」、「平成23年台風第2号」……と命名される。
そしてアメリカの場合、「発生した順に、その年あらかじめ決められているAからWまでの人名」で命名される。先頃のアイリーン(Irene)は9番目の“I”が頭文字なので、日本式に言えば“2011年台風第9号”となる。ちなみに、以前は女性名だけだったが、性差別に繋がるとして現在は男女交互に名前が決められている(現在2016年までが決定済み。こちらをご参照ください)。
ところで日本では、第二次世界大戦後の連合国による占領時代はアメリカと同様に女性名を台風の名称としており、“ジェーン台風”(映画『稲村ジェーン』でおなじみ)などはその名残である。また、『伊勢湾台風(昭和34年)』など地名が付けられている場合は、特に被害が大きかった台風について、上陸地点の名前から気象庁が付けたものだ(現在まで8例)。
と、いうのが前提なのだが、実は日本の場合はもうひとつ台風の名前が存在する。2000年(平成12年)より、北西太平洋または南シナ海で発生した台風への防災に関する各国政府間組織「台風委員会」(日本など14カ国が加盟)が、その地域で発生した台風に統一名称を付けるようにしたのである。
加盟国などが提案した名称はそれぞれ140個あり、1番目となっている「ダムレイ(カンボジア提案・象の意)」から順番に140番の「サオラー(ベトナム・ベトナムレイヨウの意)」まで付けていき、次はダムレイに戻る。これは発生年が変わってもリセットされないので、140個でキッチリ一周する。このうち日本の提案では5番目に「テンビン(てんびん座)」など、星座の名前で10個の名前が採用されている(こちらをご参照ください)。
なお、各国に激甚な被害をもたらしたものについては、次回に順番が回ってきた際に名称の変更がなされる。「平成23年台風第12号」として日本に大きな被害をもたらした「タラス(フィリピン提案・奇しくも「鋭さ」の意)」も、次回採用時には違う名前になっているかもしれない。