先週末から今週前半にかけて、女子ゴルフのメジャー大会『全米女子オープンゴルフ』が行なわれた。
日曜日に終了(現地時間)のはずが、落雷などの影響で再三の日没サスペンデットがあり、今週の月曜日まで競技が持ち越される大荒れの展開のなか、優勝はプレーオフを制した韓国のユ・ソユン。敗れたソ・ヒキョンも韓国出身で、近年のゴルフ界では一大勢力になりつつある韓国の勢いを見せつけられた大会となった。
日本勢では宮里美香が5位、宮里藍が6位。両選手とも一時は単独首位に立つなど、樋口久子以来の34年振りのメジャー制覇に期待がかかったが、今回もお預けとなった。同じアジアの一因として、韓国の勢いを借りつつ、負けずにメジャー制覇を成し遂げていただきたいものである(次回の女子メジャーは7月28日からの全英リコー女子オープン)。
全英オープン覇者に与えられるトロフィー
「クラレット・ジャグ」
優勝者名が彫られていくのだが、最終日の後半に、
「もう彫ってますね」や「(接戦で)今年はまだ彫れませんね」
という中継でのやりとりがお約束そして昨夜から始まったのが男子メジャーの『全英オープンゴルフ』だ。
「それが歴史になる――」
地上波での中継局・テレビ朝日のキャッチコピーの通り、全英オープンは世界最古のオープンゴルフ大会(ちなみにオープンとは、出場資格さえ満たせばアマチュアでも出場可能な大会を指す)であり、第1回が行なわれたのは1860年。開催地などを示す語句が含まれていない『The Open Championship』という正式名称からも、他に大会がなかった時代だったことがうかがえる(たとえば全米オープンは『United States Open Golf Championship』で、開催地が明記されている)。
ゴルフのルールなどを司る世界のゴルフの総本山である英国ゴルフ協会(R&A=Royal and Ancient)が主催するこの大会は、“あるがままの状態でプレーする”というゴルフの大前提を体現するが如く、フェアウェー以外は伸び放題のラフ、深い壷のようなバンカー、そして海岸沿いのリンクスコース特有の激しい風、それに伴って「1日に四季がある」と言われるほどの天候の激変……その中をプレーするのが全英オープンの特徴。きれいにコース整備されたアメリカのメジャー大会と比べると、単なる荒れ地か、とても貧乏くさいゴルフ場(失礼)に見えるのだが、それこそが魅力なのである。
激しいコースコンディションを切り抜ける小技や技術の勝負になることが多いためか、80年の初日に青木功がマークした63のスコアはいまもって大会史上最小タイであり、近年も02年の丸山茂樹、06年谷原秀人が5位タイに入る活躍を見せるなど(日本人最高は82年倉本昌弘の4位タイ)、日本人選手の活躍も比較的多いのがこの大会。
筆者の独断では全英オープンこそ日本人選手がメジャー大会を制する最大のチャンスであり、それと同時にその日が来たら死んでもいいとまで常日頃から公言している(笑)。それが“ジ・オープン”。初日を1アンダー18位タイで発進した池田勇太をはじめ、おなじみ石川遼、藤田寛之など日本人選手たちの奮闘に期待しよう。