わーい、頂上だーッ!!!2011/08/20
「コダーマー! フィニーッシュ!」
前を行くイタリア人ガイドのジジが叫んだ。
「???」「サミット?」
「イェー!!!」
ただちに実感はなかった。見れば、確かに今まで登りだったのが、ゆるやかに向こう側に下り傾斜に代わっている。その変わり目が頂上というわけだ。日本の山のように三角点が打ってあるわけでも、山頂標識が立ているわけでもない。
幅30、40cmほどの細い雪のリッジをフーフー言いながら登って、それはもう精一杯ぎりぎりで、あたりを見回すゆとりもなく足元ばかり見つめて歩いている途中にいきなり「フィニーシュ!」言われてもポカン?になるさ。
「ああ、ともかく、もう登りはないのね」
重い足を止めてまず、思ったのはそんなとこ。
ドーム・ド・グーテのほぼ頂から見上げる。
「頂」は山頂ではない
ドーム・ドグーテ4304mから一旦降りて、登り返すあたりから身体が重くなった。ヴァロ避難小屋4362mを通り過ぎるころには、「あああ、下手にルート予習なんてするもんじゃない」と嘆いた。まだまだ先が長いとわかっているのだから。
目の前はるかに頂のように見える雪稜の頭、あれは見せかけの頂上で、それを超えるて見上げるのも「ニセ」の頂。二つ目のコブの途中、ことに4500m前後から一段と鉛のように重い足を無理やり運ぶ。息も切れる。
「Do’t stop!!」
余のしんどさに、ともすると足が止まる。
「コダーマー!Allez allez!!!」
ジジがロープを引く。
「Let me have a brief rest!」
「No,no,no」
Noと言わりょが止まってしまう。ゼーゼー、ハーハーなんてものじゃない。肩が激しく上下する。身体が揺れる。鼻水が垂れてもきちんと拭う暇さえなく、せめてグローブした手で鼻をすするもんだから、人差し指のところががガビガビになる。すすってもすすっても後から後から鼻水は垂れてきて、大概の拭いきれなかった分は、筋を引いて雪の上に落ちる。
大画像がヤバイ。
鼻水と涙にまみれてグショグショ
足を止めて息が整ってくると、辺りの様子が目に入った。途端に涙が溢れてくる。360度大パノラマ! アルプスの山々が全て眼下に見える!!ヨーロッパアルプスの最高峰モンブランの山頂なんだ! 4810m!!そこにいてさえ俄かには信じ難いような、それでも事実!!
万歳している写真の顔のみっともないこと! 鼻水と涙でグショグショ!!!
ジジ、大丈夫だったかな。グショグショ顔で抱きついてハグハグ、ほっぺにkiss kissだったから、もしかしたらジジの顔にもグショグショが移ったかもしれない。
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