桜丘の星降る名所――コスモプラネタリウム渋谷


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プラネタリウムの象徴、ドームが右端に見える
渋谷区文化総合センター大和田

たとえばの話「札幌に観光に来たから時計台を観よう」とか「せっかく高知に来たのだからはりまや橋を観ておこう」、と。札幌の時計や高知のはりまや橋を“わざわざ”観光ルートに入れる価値があるのか否か、という議論はこの際置くとして(置くのかよ)、そう言った「名所」が存在する場所がある。

翻って我らが桜丘の街に「名所」は存在するのだろうか?


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開館以来、幾多の星空を映し出してきた投影室

アナタ丸2年に渡って多種多様な皆々様に出ていただきながら失礼な、という気もしないではないが、たとえば飲食店にしてみたらそれぞれ“名店”であっても名所というのはしっくりこないのもまた事実。建造物的なものか、と考えてみても桜丘の二大高層建築であるセルリアンタワーはホテル&オフィスビルですしね、インフォスタワーもオフィスしかないわけで、「桜丘でこれ観てってよ」というものではない。
あ、春になれば桜通りの桜が……そんなことを思いつつ、その桜通りを上がっていると……そうそう、年間通してここなら名所と言えますよ、という存在を思い出した。桜通りに至るところにこの看板出てるじゃないですか。

プラネタリウムはこの上、文化総合センター内にあります」って。ここが桜丘の名所ですよ。

『渋谷区文化総合センター大和田』は、図書館や元々この地に建っていた大和田小学校の同窓会事務局、ホール各種や『bel mare caffe(ベルマーレ・カフェ)』など飲食店も入っている渋谷区の文化施設。ここの最上階(12階)にあるのが『コスモプラネタリウム渋谷』である。


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五島プラネタリウムで使われていた投影機

渋谷駅前とプラネタリウムの歴史は古い。現在『ヒカリエ』が建つ場所にあった複合施設『東急文化会館』。こちらの8階にあった『天文博物館五島プラネタリウム』は1957年に開館し、2001年の閉館まで約1600万人もの天文ファンが訪れた伝説のプラネタリウムだった。
閉館の際に資料や器材などの引き継ぎ先が渋谷区教育委員会だったことが、桜丘に開館する渋谷区の文化施設にプラネタリウム設置が持ち上がったのもなにかの縁か。2011年11月21日の『渋谷区文化総合センター大和田』の開館に合わせて、9年ぶりに渋谷駅前にプラネタリウムの復活と相成った。
ノーベル物理学賞受賞の小柴昌俊氏の記念講演会なども開かれたオープン当初から大きな話題を集め、いまも週末はチケットが確保できない上映回も多い(定員120名)。プログラムの入れ替えも頻繁に行なわれていることから、繰り返して来場しても常に新鮮な気持ちで楽しむことができる……うーん、込むのも仕方ないかっ。

「昨年の金環日食などはもちろん、近年は流星群なども頻繁に報じられる天文ブームのところがあり、私どものプラネタリウムにも注目いただいているのでしょうね。
館内ではコニカミノルタプラネタリウム株式会社製のプラネタリウム投影機、さらに全天周デジタル動画投影システムを使って、美しい星空と臨場感あふれる映像空間を提供しています。
新年1月12日からは新プログラムの『GOODNIGHT GOLDILOCKS』も投影を開始します。こちらに注目いただきたいのはもちろんですが、かつての五島プラネタリウムで使用していた投影機も館内展示(2階)しております。貴重な資料ですので、こちらもぜひご覧になってみてください。お待ちしています」(渋谷区役所)


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1月12日からの新プログラム、
『GOODNIGHT GOLDILOCKS』のワンシーン

天文ファンには嬉しいニュースとして、かつての五島プラネタリウムで名物解説員だった村松修氏も再びマイクを握っているとか。渋谷の歴史にも通じる桜丘の名所『コスモプラネタリウム渋谷』。明るい渋谷の夜からは見えない星空の海に、あなたも一度は身を投じてみてはいかが?

コスモプラネタリウム渋谷
定員:120席
観覧料:一般600円、小中学生300円
開館日時:火〜金曜日 12:00〜20:00
土・日曜日、休・祝日 10:00〜20:00
(12月29日〜1月3日、臨時休館日を除く)
※月曜日が祝日の場合は翌火曜日が休館
住所:東京都渋谷区桜丘町23-21 文化総合センター大和田12階(マップ