家田荘子渾身のルポルタージュ「極道の妻(つま)たち」を原作として製作、大ヒットを記録した『極道の妻(おんな)たち』(86年)。過去最終作となっていた2005年から8年振りのシリーズ16作目となる待望の新作『極道の妻(つま)たち Neo』が6月8日(土)より公開となった。その初日、上映後の舞台挨拶に、主演でヒロインを演じた黒谷友香を始め、原田夏希、長嶋一茂、渡部豪太、小池里奈ら出演者、そして原作者の家田荘子、香月秀之監督が登場した。
MC:まずはご挨拶からお願いします。
黒谷:本日はお忙しい中、初日にたくさんの方にいらしていただき、ありがとうございます。撮影は去年の10月のことでしたが、あっという間に今日を迎えました。みなさまと時間を共有できることをとても嬉しく思います。作品をご覧になっていかがでしたでしょうか?
(客席より拍手)
あっ! 良かった!! ありがとうございます!
原田:10月の撮影ということで、ずいぶん前のことのようです。エンタテインメントの世界にどっぷりとつかって楽しんでいただき、良かったなと思っています。
長嶋:えーー、精一杯やらせていただきました。女性が……あっ! これは監督のコメントでしたね。
香月:残しておいて(笑)。
長嶋:そうですよね。カッコイイ女性ふたりにかこまれて、たいへん幸せでした。
渡部:私にとってこの作品は、俳優人生のひとつの転機ともいうべき役どころで、監督の下で頑張らせていただきました。これを糧にして良い役者になりたいと思っています。
小池:10月に撮影してから、早くこの作品をみなさんにお届けしたいと思っていました。こんな素敵な作品に携れて幸せでした。
家田:極道の“妻”と書いて“おんな”たち。1作目が上映されて27年が経ちます。まだ、生まれてらっしゃらない方もここにいらっしゃるかもしれません。長い間“極妻”を可愛がっていただき、ありがとうございます。そして、また素晴らしい“極妻”を27年後に16作目として、上映させていただくことになりました。どうぞ、これからも“極妻”を可愛がっていただけますよう、お願い申し上げます。
香月:今日観ていただいておわかりのように、今までの『極道の妻たち』とは違う形で、ふたりの女性の悲しい愛の情念を描かせていただきました。
MC:黒谷さん、歴史ある“極妻”シリーズですが、主演のお話が来たときはいかがでしたか?
黒谷:驚きました。私が主演を出来るということが嬉しくて、また、歴史ある映画なので、頑張らないといけないなという思いでいっぱいでした。
MC:見どころのひとつに、迫力の“啖呵”があったと思いますが……。
黒谷:なかなか、実生活で啖呵を切ることはないので(笑)練習しましたけど、今回の琴音役は私が憧れる女性像でもあり、大事に気持ちをこめて演技しました。
MC:最後の雨の中での殺陣シーンはいかがでしたか?
黒谷:朝の7時くらいからの撮影で、夜中の2〜3時まで、一日で撮りきりました。至近距離の撮影でしたが、殺陣師の方が信頼のおける人でしたので、安心して演技できました。印象深い明け方までの撮影でした。
香月:すみません……。
黒谷:監督も優しく、大丈夫? 寒くない? などお声かけいただきました。
MC:原田さんは、このシーンを振り返っていかがですか?
原田:雨に濡れると着物って、重いんですよね〜。気持ちで動いていいよって殺陣師の方に言っていただいていたので、演技自体は気持ちが良かったですね。
MC:今回の原田さんのアザミ役は一目見てワルだなってわかる役でしたが……。
原田:あのメイクは特殊メイクですからね(笑)。極道という世界をハッキリと表す人物だったので、こういう人は本当はいないよって思いますけど……わかりやすい女でしたね。メイクもしかり、キセルを持っていたりと、ポスターを見ても私だとわからない人もいました。今井雅之さんと夫婦役でしたけど、メイクを落とすと「お前、誰だかわかれへんやん」と言われてました(笑)。
MC:長嶋さん、琴音を愛し抜く、男の中の男というカッコイイ役でしたが、演じてみていかがでしたか?
長嶋:演じてみて……? 僕はわからないですね(笑)。監督の言われるとおりに演じさせていただきました。後は、松田優作さんの真似をさせていただきました(客席から笑いが)。全部ではないですけど、最初に鬼場満が入って来るシーンで、『ブラックレイン』での松田優作さんのタバコのシーンを真似しました(笑)。
MC:出来はいかがでしたか?
長嶋:現場の方は誰も気づきませんでした(笑)。
MC:渡部さん、東映京都撮影所はいかがでしたか?
渡部:独特の空気と格式のある撮影所ですので、ふんどしを締めて、立っているすべてに挨拶する、電信柱まで……。という感じで、撮影所に通っていました。あとは周りのお蕎麦屋さんがとても美味しい。
MC:小池さん、撮影の初日に倒れてしまったとお聞きしましたが……。
小池:ブティックに逃げ込むシーンで貧血で倒れそうになったら、黒田さんがお母さんのように抱きかかえてくださって、「外の空気吸って」って、本当に琴音さんだって思いました。
MC:琴音姉さんに憧れるような出来事が本当にあったんですね。
小池:そうなんです〜。ありがとうございました。
黒谷:とんでもないです。
MC:家田先生、本作を最初にご覧になった感想はいかがでしたか?
家田:素晴らしい作品だなと思いました。女性の男の人への愛を貫くというところが、すごく描写されていて、観ながら泣いたり、笑ったりしました。30年くらい前の抗争を取材し、「極道の妻たち」を書かせていただいたのですが、そのきっかけは、朝「いってらっしゃい」と愛する男の背中を見送るわけですが、もしかしたら、家に帰って来る時は棺桶に入って帰って来るかもしれない。そういう覚悟を持っている女性たちの気持ちを取材させていただきました。たまたま、今回は極道という世界ですが、どんな世界でも女性の男性を愛する心は変わらないのかなと、この映画を観て思いました。
MC:今回、『極道の妻(おんな)たち』から『極道の妻(つま)たち』と原作と同じ読みになりましたけど……。
監督:今までの『極道の妻(おんな)たち』という映画は、どちらかというと“ヤクザ映画”なんですが、家田さんのお書きになったルポルタージュは、女性の愛の話。家田さんが「私は愛を書いているんです。ヤクザを書いているのではないんです」と、お話を伺ったので、今回は愛の悲しい物語にしましょうというところから『極道の妻(つま)たち』になりました。
MC:最後に黒谷さんよりメッセージをお願いします。
黒谷:今日はたくさんの方にお会いできて嬉しく思っています。琴音は、今回は極道の世界でしたけど、家田先生と監督がお話されたようにこの映画は“愛”がテーマになっていて、女性が持つ“強さ”、“情”などいろんなものが複雑に織り込まれた作品になっています。女性の方にぜひ、観ていただきたいと思っています。本日は男性の方もたくさんお集りいただきありがとうございます。今日はお忙しい中ありがとうございました。
妻(おんな)から妻(つま)へ ―― 。
黒谷友香を主演に迎え、新たな《極妻》伝説がここに始まる。
あの《極妻》が帰ってきた。
家田荘子渾身のルポルタージュ「極道の妻(つま)たち」を原作とし、映画『極道の妻(おんな)たち』は製作された。記念すべき第1作の主演は岩下志麻。五社英雄が監督を務め、1986年に公開されるや爆発的なヒットを記録。大きな話題を呼び、翌1987年には『極道の妻たちII』1989年に『極道の妻たち 三代目姐』など次々と続編が製作されることになった。岩下志麻、十朱幸代、三田佳子、高島礼子といった大女優たちが主役を演じ、不動の人気シリーズに成長。ここまでのシリーズ累計製作本数、実に15本。累計観客動員数は670万人を突破。ビデオ・DVDなどのソフト販売本数も合計70万枚を突破している。過去最終作が作られた2005年から8年。満を持して新たな《極妻》伝説がここに始まる。
<<物語>>
極道に追われる西澤サクラ(小池里奈)が逃げ込んだのは、鬼場琴音(黒谷友香)のブティックだった。極道たちを束ねていたのは加藤アザミ(原田夏希)、西京連合加藤組組長・加藤修平(今井雅之)の妻だ。アザミたちからサクラをかばう琴音。彼女もまた西京連合鬼場組組長・鬼場満(長嶋一茂)の妻であった。アザミは、過去に最愛の男・矢島晃司(袴田吉彦)を鬼場満に殺されていた。因縁のふたりは出会ってしまったのだ。
原作:家田荘子「新・極道の妻たち」(青志社刊)
監督:香月秀之
脚本:米村正二
出演:黒谷友香/原田夏希/今井雅之/渡部豪太/小池里奈/嶋尾康史/袴田吉彦/石橋蓮司/大杉漣/長嶋一茂
音楽:MOKU
制作プロダクション:東映京都撮影所
製作・配給:東映ビデオ
公式HP:http://gokutsuma-neo.com/
公開:6月8日(土)より新宿バルト9他全国ロードショー
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