第64回 ライヴレポート編 Superfly――さらなる期待までも抱かせる「Superfly、恐るべし……」

11月5日に東京国際フォーラムで行なわれたSuperflyのライヴを観てきました! 実は、前回のライヴの雰囲気が俺の慣れ親しんでいるロックアーティストのそれとかなり違って、今ひとつ楽しめなかったこともあり、どうしようか迷ってたんだけどね。ただ、演奏はもちろん良かったから、少し迫力が足りない感じがしたり、臨場感に欠ける感じがしたりしたのは、会場の特性や俺が見ていた場所のせいかもしれない、と思ってチケットを取りました。前回はステージから遠かったし。でも、取れたチケットは二階の最後列(苦笑)。若干の不安はありつつも、ミニ双眼鏡持参で会場に向かいましたよ。さて、以下ネタバレありでレポートします。これから観に行く人は、ご了承のうえでご覧くださいね。

会場に着くと、頭のてっぺんが少々淋しくなってるオジサマや、ヒッピー風ファッションがやけに板に付いてるオバサマも多く、やはり年齢層は高め。男女比は6:4か7:3で女性の方が多いかな(若い人はほぼ女性)。ステージセットは、前回が大会場(スーパーアリーナ)らしい派手なものだったのに対し、今回は至ってシンプル。そして、前回もそうだったけど、開演前のBGMがSuperflyのカヴァーしてきたクラシックロックのアーティストだったりするのが嬉しい。この辺が年齢層の高い所以かもね。

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ツアータイトルにもなっている『Force』。
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それまでよりもBGMの音量がアップし、会場が暗転すると、客席は大歓声でメンバーを迎える。そこへ「Yeahー!」と大迫力の歌声が炸裂。越知志帆、やっぱり凄い声だ! CDじゃこの迫力の半分も伝わってないかもしれない。衣装は80年代テイストで、ヤンキーというか、レディース風(笑)。1曲目はニューアルバムから、タイトルトラックの『Force』。ツインギターがからむリフがカッコいい! しかし、1曲目から二人のギタリストが順にソロを弾くなんて、そんなアーティスト、今の日本のヒットチャートの中にいる? Superflyはそんな意味でも貴重な存在です(笑)。

No Bandage』、『Wildflower 』とSuperfly流のロックソングが続いたあとは、『Bird Without Wings』。こういったしっとりした楽曲での歌声に、より彼女のポテンシャルを感じる。ロックシンガーが歌うバラードだ、とかね、彼女のロックテイストにやられていたんだけど、実は、本質はR&B風味のほうが強いのかも、と思い直しています。R&Bシンガーが歌うロック、って感じ。これ、良い悪いじゃなくてね。そして、今までより声が太くなって、歌声にさらに説得力が増している。……志帆、おそろしい子! 
……同じくバラードの『終焉』、『あぁ 』では鳥肌が立った。パワフルな歌声が話題になることが多いけど、女性らしい、やわらかな歌声のなんと素晴らしいことか。サビ以外の抑えたパートの声も切なくていい。

この日の客席は、志帆ちゃんいわく「モンスターがいっぱい」で、前回感じた大人しさはどこへやら、会場を三つに分けてのコール&レスポンスは、それぞれ聞いている側のチーム(?)からどよめきが起こるほどの大歓声。そして、そのままの勢いで後半は怒涛のロックチューン6連発! それまでバラードパートでの『あぁ』がクライマックスだと思ってたけど、本当のクライマックスはここでした。ニューアルバムの中での俺のお気に入り、『919』や『Get High!!〜アドレナリン〜』がアルバム以上に迫力がありつつも、色気もあって、志帆ちゃんの新境地では。新しいアルバムはゴリゴリのロックアルバムで、
コンセプトはロックライヴアルバム、と言っていたのをインタビューで読んでいたんだけど、正直、そこまでロックな感じを受けていなくてね。でも、実際のライヴを観て、実にライヴ映えのする曲が多いことにようやく気づいた。初回限定盤の、スタジオ盤と同じ楽曲のライヴを収録したライヴ盤がセットになっているヤツを聴いていたら、もっと早くに気が付いてたのかも……。

本編は『輝く月のように』でいったん締め。代表曲、『愛をこめて花束を 』を中盤にあっさりとやって意外な気がしてたんだけど、この曲や、他の新曲に自信を持っているってことなんだろうな。実際、イントロのピアノが聴こえてきたときの歓声は、『愛をこめて〜』よりも大きかったかもしれない。アンコールは大盛り上がりの『タマシイレボリューション 』、Superflyからのプレゼントとしてアルバムに収録されていない新曲 が。そしてラストソングはニューアルバムと同様に、ポジティヴな感動を呼ぶ『スタンディングオベーション』。この辺も、「ロックライヴアルバム」ならではのこだわりだろう。『マニフェスト 』をやってくれなかったのが残念だったけど、最後列だろうがなんだろうが、思い切り楽しませてくれたから大いに満足です。でも、もっともっとロックして! って、さらに期待しちゃうけどね!