『VAN HALEN』の来日が決定してしまいましたね! ほんとに来るのか? ……と、不安はありつつも、俺は早くもVAN HALEN強化月間として、毎日CDを聴いております。聴くのはもちろんデイヴィッド・リー・ロスが歌っているCDですよ。ついでにデイヴのソロアルバムも聴いたりしちゃってね。そうそう、最近ダイアモンドなんたらって人がテレビで活躍していますが、元祖ダイアモンドはデイヴですからね! 今回はそのダイアモンド・デイヴこと、デイヴィッド・リー・ロスについて書きますよう。
最近、俺の周りでVAN HALENの来日のことがよく話題にのぼるんだけど、なんだかね「サミー・ヘイガーなら行くのに」とかいう声が多くてさあ。何を言っているんだ。わかってねえなあ(笑)。いや、皆さんそれぞれに好みがあるのは百も承知。サミーから聴き始めたとしたら、デイヴの歌がよくわからないのも当然だと思う。でもね、VAN HALENはやっぱりデイヴなのよ。おバカロック映画『ウェインズ・ワールド 』で(だったと思う)、相手が仲間かどうかを確認するのに「VAN HALENのシンガーは誰だ?」と聞くシーンがあるんだけど、「サミー・ヘイガーだ」と答える相手に対し、主人公は「デイヴに決まってるだろ、お前は偽者だ」みたいなことを言うんだよね。つまり、サミーでもいいと思ってるヤツはわかってない、と言っているわけですよ。もちろん、異論反論はたくさんあると思いますが(笑)、あのシーンで拍手をしたオールドファンは多かったと思う。
脱退したデイヴと、サミーが加入したVAN HALENは、それぞれの一枚目のアルバムを同じ年に発表。チャート上ではVAN HALENに軍配があがり、デイヴ時代には獲れなかった全米1位も獲得。凄いアルバムだし、当然といえば当然。俺も夢中になって聴いたけど、でも、デイヴの『EAT ‘EM AND SMILE 』のほうが気に入ってた。デイヴのアルバムにはVAN HALENから消えた野蛮で下品な「VAN HALENらしさ」がいっぱいつまっていたんだもの。VAN HALENは野蛮じゃないと嫌なんだ。肉食ってるぜ、って感じの。
サミーは物凄いシンガーで、歌唱力は間違いなくデイヴより上だし、サミー時代の楽曲はデイヴがいたころよりも完成度が高く、フロントマンとしての魅力だってデイヴに負けないぐらい持っている。VAN HALENが名実ともにアメリカを代表するバンドになったのは、サミーが入ってからだろう。そして実は、俺はサミーのファンだったりもするし(笑)、VAN HALENとのケミストリーも認めてるけど、どんどんアダルトになっていったのがどうもね……。
デイヴのバンドには、フランク・ザッパ の門下生というロックギタリストとしては異色の経歴を持ち、さらに「ALCATRAZZ 」でイングヴェイの後任を務めた凄腕ギタリスト、スティーヴ・ヴァイが参加。あのエディ・ヴァン・ヘイレンと比べられるわけだからね、並のギタリストじゃダメなわけですよ。そして、スティーヴだけではなく、当時はまだ知る人ぞ知る存在だった超絶技巧を誇るベーシスト、ビリー・シーン(現MR.BIG)までもが参加。いや、これは衝撃的だった。度肝を抜かれるってこういうことだな、と(笑)。今でこそ、MR.BIGなんかでギターとベースの超絶ユニゾンプレイも聴きなれたけど、あの当時はそんなの聴いたことなかったし。
さて、そんな派手なメンバーがいつつも、主役はもちろんダイアモンド・デイヴ。凄腕で、ルックスも派手なメンバーを従えた姿はほんとにカッコ良かった。メロディがあるんだかないんだかわからないのに、なぜかキャッチーという楽曲は他の誰にも歌えないものだし、超絶技巧が入ったロックチューンと、ラスベガスのショーを彷彿とさせるスタンダードナンバーを違和感なく並べられるのもこの人だけでしょう。底抜けに明るいPVもほんとに楽しかった。VAN HALENにあったコミカルなイメージはやっぱりデイヴのセンスだったんだな、と再認識したもの。それもVAN HALENの魅力のひとつだったよなあ。
ただね、この人もなかなかに問題のある人らしく、メンバーとの確執からオリジナルメンバーでのアルバムは二枚のみ。メンバーチェンジが続くにつれ、本人の魅力にも次第に翳りが出てきてしまった。ビッグマウスぶりが空回りしていて、なんだか痛々しい時期もあったし。そんなわけで、なんとなく過去の人になってしまった感があったデイヴがVAN HALENに復帰したと聞いても、最初は、期待していいのかどうなのかわからなかった。新しいアルバムも最高とは言い切れないし……でもね、ワクワクしちゃうのよ、デイヴがいるVAN HALENって。とりあえず温かい目で見守るつもりでライヴに行くけど(笑)、物凄く期待しているのも確か。……でも、やっぱり怖いな(笑)。