切り替えスイッチ

暑い暑いとは言っても9月。

いっときは終わらないのではないかと思った夏の勢いもさすがにナリを潜め、朝晩はたいへん過ごしやすい日が多くなってきた。

今年は特に電力会社に協力するつもりはないのだが、夏の到来を機に「今夏はエアコンを使うまい」と心に決めて実行、ついにエアコンなしでひと夏を過ごした。寝苦しい夜にはさすがに扇風機に頼ったけれど、冷房のスイッチにはついに手を触れず。電気代も安くすんでハレルヤ! だ。

7階建てマンションの4階に位置する仕事場は通りに面する窓が西向きで、午後の2時過ぎともなると直射日光が入ってかなり厳しいことになるのだが、ここも一台の扇風機で乗り切った。

住居である二階家の階上で仕事をする妻は、天井からの熱気が半端でなく時に40℃に迫る暑さだったそうで、やむを得ず一、二度はクーラーを起動したと言うが、それも設定温度は30℃で、高温のためにPCが熱暴走してオシャカになることを考えればそれもやむを得ない。というか「クーラーつけてください」と懇願したくらいである。

ともあれ日常はエアコンなしで乗り切った夏。ここへ来て涼しくなってきたのは実に喜ぶべきことで、昼夜問わず過ごしやすいのは何よりである。

で、そういう「自然」に身を任せる日々を送るとどうなるか、と言うのが今回のお話。人間の体って「季節」によって切り替わるモノなんですね、という話題です。

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今回は滋養強壮「秋のヌルヌル丼」。
山芋の海の底にはもちろんごはんが鎮座しております

 

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ともかく眠いのである。

睡眠は思いのほか体力を使うというけれど、夏の暑さでヘバっているはずなのに毎晩しっかり8時間は寝てしまう。しかも眠りが深い。いつだか夏の真っ盛りに酷暑から逃げ出した山荘で「(夏なのに)冬眠のように眠り続けた話」を書いたことがあるが、このところの睡眠はまさにそんな感じだ。

おそらくは暑さで疲れた体を秋・冬バージョンへ変更するべく、体が休息を要求しているんだろう、と漠然と理解しているのだがどうだろう。要するに自律神経系などを「冬仕様の体」へ整えているのではないかという推測である。

加えてあれほど暑かったにもかかわらず「夏バテ」をしなかったことに驚いた。空調設備によって作られた人工的な空間で季節を過ごすことがどれほど肉体にダメージを与えていたか、を今年は実感したというわけである。

問題はそんなに寝ていては仕事が終わらないことで、仕事があるのはありがたいことだけれど、机の前に座りっぱなしで運動不足の上にジムでのトレーニングをする時間を削ることになって、夏バテをしなかったせいで食欲も落ちないので、そろそろ体重が気になってきた。ヤバイです。

とはいえそれもまだコントロールの範囲内、冷房で体調を崩して体重が減少するよりはいいに決まっている。こうして着々と冬の体へ「切り替え」をしている最中であります。

 

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ところで僕の仕事はこうして文章を書く仕事とイラストを描く仕事、そして印刷物などのデザインをするという、主に三つの種類の作業で構成されている。

実際ついさっきまではイラスト(今日は「漫画」だった)を描いていて、それが終わったので今はこうして文章を書いているわけだけれど、イラストから文章へとすぐに移ることができるかと言うとそうでない。何かしらの「切り替え」が必要で、この切り替えというのがけっこう難物なのである。今回はその「切り替え」を目的に弁当を食べたら眠くなって失敗した、という話はともかく、どうにかこの切り替えがうまくいかぬものかと、毎回苦労する。

加えて複数の種類の仕事が並行して進んでいる場合、たとえば漫画を描きながら、イラストを描きながら「次に描く文章のネタ」などを考えようとするのだが、それができずに文章作業に移ろうとして思わぬ時間を食うのだ。

考えてみればイラストからデザインの作業に移るときも、デザイン作業から文章を書く作業に移るときもおおむね現象は同じで、作業を始めた当初はなにか「違和感」のようなものを感じてすぐに始められない、というのが実感である。

しかるに、その「切り替えスイッチ」として「ぜんぜん違う他のこと」をしてみようと、毎度試行錯誤するのだが、未だその決定的なスイッチが見つからない。弁当を食べたりコーヒーを入れたり本を読んだりするのだが、いつも失敗、よけいに時間を食う結果になるのが関の山だ。

思うにこれは三つの種類の作業がそれぞれ使う「脳みそ」の部位が違うのではないかと思う。論理的な思考、感覚的な思考、視覚的な思考、たぶん使用する脳の部位が違うと思うのだがどうか。

そこで。運動不足の傾向もあることだし、ここはひとつ散歩はどうか、と考えた。座して食す、呑む、読む、では脳みそも切り替わるまい。ジムのトレーニングは往復の時間を含めてたっぷり3時間は費やすことになるが、散歩なら30分もあれば充分だろう。

そんなことを思いつつ、一昨日はイラストの作業を終えて文章作業へ移行する折を見計らって「何かネタは無いか」と思い切って外へ出た。すると。

驚くなかれそこに「ネタ」が転がっていたのだ。まさしくそのタイミングでしか出会えないネタだった。〆切もギリギリセーフ。そのネタとは……。

メールマガジンに書きましたのでそちらをどうぞお読みください(笑)。楽しい原稿にレシピがついて月々500円で2回の配信です。文末にもありますがよろしくどうぞ。
http://www.mag2.com/m/0001576502.html

なに? 「この『酔っぱライ部』と同じじゃん」? いえ、またひと味違った仕組み
になっております……とここは禁断の自社広告でした。

 

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てなわけで今回の「かんたんレシピ」は「秋のヌルヌル丼」。「ヌルヌルした食材」って自律神経系に好作用があるらしいですね。暑さで疲れた体にぜひどうぞ。

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40909_pic2.jpgとはいえそろそろ「仕事の山」も終わりが見えてきそうで一安心なんだけど、終わったら終わったで「仕事がない不安」が襲ってきそうでいいんだか悪いんだか。なぜこの世には「ほどよい忙しさ」というのが存在しないんであるか。忙しすぎるのも困るし暇すぎるのはもっと困るし、ああ「相克」!

次回更新は9月22日の予定です。

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