許可します

ところでこのところ仕事場のある街では「閉店」、「改装」、「新規開店」などに踏み切るお店がとても多くてなにやら状況が動いている気がするんですけども、これァあれですかね、例の「なんとかノミクス」のせいでしょうかね。たしかに円安になったり株価や企業業績が上がったり、なんて話聞きますもんね。

でもおっかしいなぁ。だってあの人、まだナニもしてないんでしょ? なのにこうして影響というか、変化が起きるのはやっぱり「景気」は「気」ってことなんでしょうか。

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今回は「茄子の揚げ出し」。
レシピはおなじみオーラスで

とはいえ依然としてこっちの暮らしはぜんぜん楽にならないし、じっと手ばかりを見ていてもどうしようもないのでライブでも、ってことで行って参りました。ZEPPダイバーシティTOKYO。「WILCO」、3年ぶりの来日です。

前回、彼らのライブでZepp TOKYOに行ったときもこちらで文章に書きました。
http://asobist.samplej.net/entame/drinker/20111206.php
いやいや今回も久しぶりのスタンディング・ライブで盛り上がって参りました。

 

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前回はアルバム「WILCO」に合わせての来日だったので選曲やオープニングもこれからのものが中心。
http://www.nonesuch.com/files/imagecache/section-albums-coverart/albums/coverart/wilco-the-album.jpg

その時の一曲目がこれ。

大変かっこよくて最初(のっけ)からちょっと「ジワ」が来るようなライブだったのだけど、一転今回は静かに始まって(だいたいこの映像にあるステージと同じ)、ちょっと意表をつかれた感じでした。

そんな当日のセットリストはこちら。

01 Less Than You Think
02 Art Of Almmost
03 I Might
04 One Wing
05 Sunken Treasure
06 Spiders (kidsmoke)
07 Impossible Germany
08 Born Alone
09 Radio Cure
10 Sky Blue Sky
11 Say You Miss Me
12 I Must Be High
13 Whole Love
14 Theologians
15 Heavy Metal Drummer
16 Dawned On Me
17 A Shot In The Arm
18 Hummingbird

アンコール
19 California Stars
20 Late Greats
21 I’m The Man Who Loves You
22 Monday
23 Outtasite (Outta Mind)

それぞれの曲についていろいろと書きたいことはあるけれど、あまりご興味のないむきもあろうことなのでここでは割愛。今回、こちらで書くのは「テーパー」と呼ばれる人達のことであります。

 

 

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「テーパー」。ご存じでしょうか。ライブを録音する人達のことを言います。
「そんなことできるの? 違法じゃないの?」と思う方も多いでしょう。ところがこれ「アーティスト公認」、合法なんです。アーティスト側が活動をしていく上で「録音可」というポリシーを打ち出す、そういう場合があるんですね。

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会場も撮影可。
さすがにフラッシュはNGなのでブレブレ。

古くはGreatful Dead(1965―1995)なんかがそうで、中心人物のJerry Garrciaが他界してバンドはもう解散した(現在は残っているメンバーが中心になって「ザ・デッド」の名でライブ活動中)にもかかわらず、当時このテーパー達によって録音された膨大な量の音源がネットに溢れています。

そんな態度が存在する。そしてそういうバンドがライブを行うときにはたいていその「テーパー」達が集まって録音するというわけです。

バンド側が公式に発売するライブ盤はミキサーから直接取った音源だから音質もいい。それにくらべると会場のスピーカーから出る音を録るのでそれなり。だから棲み分けができるんでしょうね。なによりそうすることで自分たちが作る音楽をより多くの人に聞いてもらいたいのが目的というから、なんだか大らかでちょっと楽しいシステムです。

僕が最初にその現場に遭遇したのは1999年に来日したLittle Featのライブでした。場所は読売ホール。席に着くと、最前列中央部にマイクとDATのデッキを据え付けた人達が数人います。

そのときは「そんなことしていいの!?」と驚きました。でも誰もなにも言わないのでこういう「録音可」というケースがあることを知った。でもそれ以後行ったコンサートのミュージシャンにそれをヨシとする人がいなかったせいか、以来そんな光景に出会うことはなく、2回目に出会ったのが3年前にやはりZEPP TOKYOで見たWILCOだったのでした。

会場後方に陣取ってふと見ると、床にガム・テープで区切られた区画の中に録音機材と高い位置から録音できるように設置されたマイク・スタンドが置かれています。これが「テーパーズ・エリア」と言って「公認録音スペース」になっているんですね。

今回もそうで、ちょっと話を聞いてみたところ、録音機材はDATかHDD。電源は供給されないのでバッテリーを持ち込んでいると言うことでした。

で、録音した音源はどうするのかというと、WEBに上げる。昔(さっき書いたGreatful Deadの時代)はカセットテープの貸し借りやダビングやなんかをして楽しんだそうですが、今はそれをネットから落として聴いたりCDに焼いたり、そんなことができる。便利になったもんです。

さきほど「音もそれなり」と書きましたけれど、実際WEBから落として聴いてみるとどうしてどうして。録音機材の質やデジタルでリッピング、マスタリングする能力が高くなってるんでしょうね。なかなかいい音でした。

ただ、現在は使われているのがファイル共有ソフト(いわゆるP2P)なので若干不安があり、今回の音源をDLするのはちょっと躊躇してます。どうなんでしょうね。ビット・トレントって。なのでここでも強くお勧めすることはしませんが。

最初にこんな状況を体験したLittle Featなどはバンドのポリシーとしてそういう意思を表明しているので、僕が1978年に中野サンプラザで初めて行った彼らのライブ音源もネットに上がっていました。

もちろん落として(この時はファイル共有ソフトではなくてflacファイルをDLする方式だったのでコンバートすれば普通に聴けた)聴きました。どうやらカナダのFM局で放送された音源をあげたものらしいのですが、ものすごくいい音。個人的にも思い入れのあるライブだったので当時のことを思い出してちょっと感動。3年前のWILCOも落としてジャケットまで作ってけっこういろんな人にあげましたっけ。いやぁ楽しかった。

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2枚組。こういうの作るの好きなんですよ(笑)

音楽CDの売り上げが落ちている、というわりには「いい音楽」を訴求する力、落ちていないと思うんですけどどうでしょう。

海外ではもう「リアルCD販売店舗」は縮小の一途という話も聞きます。ほとんどがネット上でDL購入するのでもう実店舗はいらないのに比べて日本のCDショップが無くならず、しかも音楽ソフトのシェアは世界一という報道もあります。

<引用>
世界の音楽市場でCDやレコードなど、ダウンロード以外の音楽ソフトが占める割合は57%だったが、日本は80%と突出して高かった。(4月9日付日経新聞)http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0805A_Y3A400C1000000/

もしかすると先ほど書いたファイル共有ソフトが普及している外国に比べ、楽曲をDL購入する習慣がない上に、例の「握手券」とかを付けた芸人さんのCDが売れているせいなのかもしれません。ただ、僕は理由として日本のDL音源の価格にも一因ある、と踏んでいます。

たとえば近頃話題のDavid Bowie の新作The Next Day。
このアルバムに収録された曲を買うと米国amazonだと1曲$1.29なのに引き替え日本iTunesストアで250円。円安になったとはいえ倍以上です。これじゃね。買わないですよ。輸入盤を買えばそんなお金払わずにすむんだもの。iTunesストアは日本だと日本のレコード会社が価格決定するからこうなるんですかね。関係各位の再検討を促したい。

 

 

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ところで冒頭でZepp TOKYOとZeppダイバーシティTOKYOとを書き分けた件、皆様お気づきでしたでしょうか。3年前に行ったのがZeppTOKYO(青海)で今回はダイバーシティTOKYO(お台場)。これね。違うんですよ。3年前に一度行ったきり、新たにお台場にダイバーシティができたことなんて知らないアタクシ。ここで告白しますけどね。

最初Zepp TOKYOに行きました。そしたら誰もいないの。焦った焦った。

知人に電話して聞いてみたものの、彼も知らない。その場でネット検索してもらい、行き方教わってやっとこさたどり着きました。マクラで書いた「新規開店」がこんなとこにまで波及してるとは知らなんだ。ああ驚いた。久しぶりに「日にち間違え」とかやらかしたかと思った。場所、間違えていたものの近くてよかったよ。開演にも間に合って無事楽しんだ次第。

ナニ食わぬ顔でライブを楽しんだ終演後は新橋へ戻って「やきとん」で「酎ハイ」。こちらも堪能しました。

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レバ、シロ、カシラをタレでね。和辛子がいい仕事してます♪

そんな今回の「かんたんレシピ」は「茄子の揚げ出し」。
ちょいと甘めの出しを作って素揚げした茄子を入れるだけ。いくらでも食べられます。


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というわけでライブとテーパーさん達の活躍の話から楽曲価格、さらに失態の話になって今回はこの辺で。次回更新は5月7日の予定です。

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