ムコ殿、103歳のメリーゴーランドにまたがる

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機械遺産に認定された記念の案内も
いまから103年前、1907(明治40)年といえば、世界史の年表では第一次世界大戦よりも前のこと。日本では夏目漱石先生がまだまだ現役で、新聞に連載を持っていたころです。じつはムコ殿、その1907年に生まれていまでも現役という歴史ある「あるモノ」に出会ってきました。しかも東京のど真ん中で。

2010年8月、東京の練馬区にある遊園地「としまえん」のアトラクションが「機械遺産」に認定されたというニュースが報道されました。覚えている方もいるかもしれませんね。それが、としまえんのシンボルにもなっている「カルーセルエルドラド」という名前のメリーゴーランドなんです。

そのニュースを耳にして以来、ずっと気になっていたムコ殿。ある休日の夕暮れどき、木馬に会いにとしまえんに出かけてみました。ムコ殿も奥さまも、ディズニーランド以外の遊園地に行ったのはいつ以来だろうかと期待はふくらみます。なにしろ、黄金郷(エル・ドラド)の回転木馬(カルーセル)ですからね。

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教会にいるような厳かな雰囲気すら漂う
「カルーセルエルドラド」
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もはや遊園地のアトラクションとは思えません
としまえんのホームページによると、この「カルーセルエルドラド」は1907年にドイツで製作された木製の回転木馬で、ヨーロッパ各地を巡業したあと、アメリカのニューヨーク市コニーアイランドにある遊園地に移されて多くの人々に愛されました。そんな歴史あるメリーゴーランドがとしまえんのアトラクションに加わったのが1971年4月のこと。それ以来、年間30万人以上を乗せて回り続けているんです。

さてその乗り心地ですが、20世紀初頭のアール・ヌーヴォー式の装飾が随所に施されたメリーゴーランドはまさにアートそのもの。木馬や馬車のひとつひとつが価値あるアンティーク家具のようで、1回300円のチケットで乗るには安すぎるくらい。
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美しい天井画の数々。1枚ずつ絵が違います
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女神のオブジェにも見とれてしまいます
さらに見逃せないのが天井画と中央の柱の装飾です。楽しそうに空を舞う天使や女神が天井画とオブジェになってメリーゴーランドを彩ります。まるで、木馬に歓声をあげる子供たちを見守ってくれているようでした。

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なかに子豚の木馬も。 子豚は幸せを運んでくれるんです
ステージは三重になっていて、それぞれがタイミングをずらしながら回転します。木馬が上下したりはしないのですが、その分、ディティールまでじっくり味わえますね。100年前の人たちもこうしてこの木馬を楽しんでいたかと思うと、実際に廻っていたのは3〜4分くらいだったはずなのに、時間がとてもゆっくり流れていく気がしました。

遠い昔を生きた人たちと、そしてこれからの時代を生きる人たちともつなげてくれる。愛おしい木馬たちには、いつまでもいつまでも廻り続けてほしいものです。