日本選手応援団から配られた日の丸とともに バンクーバーパラリンピックで初めて出会った競技、アイススレッジホッケーと車いすカーリング。一度楽しさを知ると、全試合を観戦したくなるほどエキサイティングするスポーツです。
車いすカーリングは一見あまり動きがないような静かなスポーツと思われがちですが、そんなことはありません。一般のカーリング競技で行なわれるブラシで氷表面をこすり軌道を修正する動作(スイーピング)が許されていないので、ひとつひとつの投球に細かな戦略と精度の高いリリース技術が必要になります。同じ力で投げても氷の状態は常に違うため、ストップウォッチでストーンの速度を測り氷の状態を読むという繊細なスポーツで奥が深い。試合中は会場の4レーンで各国の試合が行なわれているだけでなく、試合時間も約3時間に及ぶこともあり、選手たちの途切れない集中力には驚かされっぱなしです。
いかに最後にセンター近くにストーンを持っていくか、相手のストーンをどう弾き出すか。最後の一投で逆転することもあるので、最後までドキドキしながらの試合観戦。頭脳戦略や技術のぶつかり合い、味わった事のない緊張感で何度も試合会場に足を運んでしまいました。
カナダのカナダチームの司令塔が車いすカーリングの見どころは何かという質問に対して言った言葉です。
「車いすのカーリングも一般のカーリングも違いはないよ。誰もが楽しめる競技さ。子どもから年配の人まで楽しめる競技。比田井選手の出場がそれを物語っているね」
カナダの選手の中でも、日本代表の最高齢75歳、比田井隆選手の存在は有名です。
車いすカーリング観戦。最後まで緊張しっぱなしです
スレッジホッケーで韓国戦に勝った日本代表チーム
パラリンピックマスコットのスーミです。 もうひとつ、私のハマった競技がアイススレッジホッケー。2枚の刃がついた「スレッジ」とよばれる専用のそりに乗って戦います。スティックは2本使用し、シュートやパスを可能にするブレード、反対側には氷を押して進むために鋭いツメが付いています。
ゴールキーパーを含め氷の上には選手が6人、ルールはアイスホッケーとほとんど同じです。正直、試合を見るまではここまで激しいスポーツだとは思ってもいませんでした。パックを守ったり奪ったりする際に行なわれる選手同士のぶつかり合いや鮮やかなスケーティング。相手チームからのボディチェックで壁に激突し、脳振頭を起こす選手もいるのだとか。
フレーム同士がぶつかり合って、ボコボコになっている器具を見るとまさに氷上の格闘技と言えます。
パックを奪いボディチェックをフェイントで交わしシュートを打ち放つ選手たち。あっという間に点数が入り次に何が起こるかわからない試合運びでリンクから目が離せません。
カナダホッケーチームのGKルオンゴ選手が聖火ランナーを
初の銀メダル獲得を喜ぶ日本チーム。おめでとう! カナダでのスレッジホッケーは人気のあるスポーツで海外ではジュニアクラスのチームもあるほど。日本選手らはホッケー大国カナダでカナダチームに勝ち、初めて銀メダルを獲得しました。地元バンクーバーの新聞でも日本選手の活躍が大きく取り上げられ、日本人応援団は盛り上がりました。
私は競技を観戦して初めて面白さを知ったので、選手らの活躍を機にスレッジホッケーや車いすカーリングが少しでも多くの人に認知され、競技の楽しさが伝わること願います。