国稀新酒解禁――日本酒と石狩鍋の深い関係

100225_04_01.jpg国稀新酒解禁で、できたて日本酒がふるまわれるという。
日本最北の酒造、「国稀酒造」と札幌第一ホテル内のレストラン「味の郷」のコラボイベント「国稀フェア」。酒をこよなく愛する道民としては参加しないわけにはいかない。
クセがなく、辛口ですっきりとした飲み口。北海道の地酒らしく、お刺身や魚料理にぴったりの「国稀」で有名な国稀酒造。明治15年創業の北海道増毛町の酒蔵。造り酒屋としては日本で最北に位置する。国稀の初代・本間泰蔵は、ニシン景気でわく増毛町で自家醸造の日本酒を造っていた。当時、日本酒の多くは本州からの移入酒で、決して安いものではなかったという。しかし、ニシン豊漁による好景気が続いて、酒の需要が増え続ける。創業時の設備では量産できなくなり、明治35年に現在の国稀酒造を建設したのだった。

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新酒解禁が待ち遠しい!
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どんどん飲んでくださいね?って、
本当に止まらなくなっちゃう
さっそく、増毛町でしか味わえない地域限定酒「純米吟醸北のきらめき」をいただく。吟醸らしい果実の香りとほのかな甘みに、純米ならではの厚みのある中辛口。さて、肴は何にしようぞ。吟醸の香りをそこなわない刺身か、それとも純米の濃醇さを堪能するために魚の珍味か。いや、でもおなかもすいてるんだよなあ。あれこれ思案していると、国稀の杜氏がすかさずアドバイス。
「石狩鍋はいかがですか?」
え?! こんな繊細なお酒に庶民の味・石狩鍋って、せっかくの日本酒がなんだかもったいない!

貧乏性である。

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贅沢な石狩鍋の材料!
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味噌と昆布の旨味がしっかりしみこむ
杜氏の方のアドバイスによると、日本酒と料理の関係は、「味の調和、味を洗う、味の変化」のみっつに集約されるという。「味の調和」とは、料理を食べながらお酒を飲むことによって、お酒がさらにおいしくなる効果。例えば刺身。料理の味もさらに際立ってくる。「味の変化」とは、お酒の途中で肴をつまむことによって、口中の味に変化を与える効果。口中に残る肴の味が、とかく単調になりやすいお酒の味をひきしめる。イカの塩辛がよい例だ。
100225_04_06.jpg鍋料理の場合、「味を洗う」効果が抜群に活躍する。「味を洗う」とは、お酒を飲むことにより、料理の味が洗われる効果。口中に残るお酒の爽やかさと旨味が、次の料理を、あるいは同じ料理をまた食べたくさせる。石狩鍋は、ぶつ切りの鮭と野菜を昆布でだし汁をとったみそ仕立ての汁で煮込んだもの。鮭以外の魚介類やどんな野菜を入れても美味しいので、冬の庶民的家庭料理のひとつである。
日本酒のアルコール分が、油脂を溶かし、魚介類の生臭さを抑える。アミノ酸が味噌、醤油、昆布などの旨味を補う。うーん、これは石狩鍋にぴったりではないか。
純米吟醸のエスコートで、庶民派の石狩鍋がぐぐーんと洗練された姿に変貌した。日本酒と肴はやはり切り離せない深い関係にあるのだった。