イギリスに訪れた寒波は比較的温暖なウェールズ南部にも雪をもたらし、交通網の乱れ、小学校の休校など、だいぶん混乱を招きました。
新聞の写真も……この通り、寒そうです。「イギリスは雪のブランケットに覆われたまま」。積雪の日が続いた時の英TIMES紙はこう伝えています。
家の窓から見える冷え冷えとした景色に身震いもします。
おかしい、カーディフは雪が滅多に降らないという地元民の話だったのに、気がつけば4年連続雪を見てしまっているじゃないか。などとちょっぴりいぶかしく思いつつも……まあ、それでもいい。
今日はお休みなんだし、家でセントラルヒーティングに暖まりながらぬくぬくとお茶をすることにしよう、と決めました。
さて、お茶、となるとやっぱりお茶受けのお菓子がないとティータイムは始まりません。イギリスに特に詳しいとか関心があるとかでなくとも、多くの方が紅茶のお供としてご存知なのがスコーン。クリスマス前後ならミンスパイもよく食べられます。
ミンスパイ。
このお菓子、普通はパイといいつつパイ生地ではないのですが、これはちょっと変わり種バージョンで本当に「パイ」。
けれども、ここはウェールズ。ウェールズにはウェールズの、立派なお茶受けお菓子が存在するのです。そのひとつがウェルシュケーキ(Welsh Cake)。まあるい生地の両面をこんがりと焼いた、レーズン入りの甘いお菓子です。
ひとたびイングランド国境を超えてウェールズに入ると、特別なお土産やさんでなくともそのへんのスーパーでも売っているウェルシュケーキ。
いろんなメーカーが発売しているようですが、私のお気に入りはここ、tan y castell。(英語でUnder the castle、日本語でいうとお城の下)のもの。ウェールズ語のメーカー名もレア言語好きのこころをくすぐるうえに、お味もスーパーで手に入る中ではぴかイチ。粗目の砂糖を表面にまぶすことも多いのですが、これはそれもなく、こんがりやいた両表面と、中間のやわらかい生地の食感のコントラストを存分に楽しめます。
側面をもう少しクローズアップすると、このような感じ。
おいしそーう。
こんな美味しいお茶受けお菓子なのですが、基本の材料といえば小麦粉、ベーキングパウダー、牛乳、卵、バター、レーズン、お砂糖、とシンプルで、今すぐ自宅のキッチンで作れそうな、いや実際すぐ作れちゃうおやつなのです。その点でいえばイギリスのお茶菓子を代表するスコーン、あるいはスコットランド発のショートブレッドと同じです。やっぱりイギリスクオリティって基本的に簡単、おおざっぱで美味しい、そんなものなのね、と単純レシピにしびれつつ(?)、食べるのを止められないのでした。