駅弁で旅アドレナリン満タンに――釧路への旅・その1

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JR札幌駅は駅弁の宝庫
毎日雪が降り続く札幌。「今年は雪が少ない」はずだったのに、と愚痴ってみたところで雪はやまない。
いやいや、こんなネガティブ精神ではいけない! せっかくの冬を楽しまなければ!!
というわけで、釧路めざしてJRに飛び乗った。釧路はものすごく寒いけれど、積雪がほとんどないのだ(やっぱり、雪にはうんざり)。
北海道外に出かけるには、ほとんどの場合は飛行機利用になる。せっかくの北海道内旅行。それなら列車に乗って移動時間も満喫してしまおう。

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今回は石狩鮭めしを
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この豪勢なイクラぶりを見よ!
札幌駅でしっかり駅弁を買い込む。季節のカニ弁当、それともスタミナたっぷりジンギスカンあったか弁当……とさんざん悩んで、お弁当やさんおすすめの札幌駅伝統駅弁にした。1923年(大正12年)に登場した「石狩鮭めし」。1000円也。ご飯の上に水気を保つ錦糸卵と鮭フレークといくらがたっぷりしかれ、フキや鮭昆布巻きが添えてある。
札幌から特急スーパーおおぞらで約4時間。釧路が近づいてきたころ、車内販売で迷わず名物「いわしのほっかぶり」を購入。890円。イワシのにぎり寿司の上に大根のスライスを載せたもの。いわしが大根のほっかぶりをしているように見えることから、駅弁名がつけられた。
暖かい車内で、北海道限定ビールをお伴に駅弁をいただく。駅弁を食べつつ、そして車窓を楽しみつつ、身体が旅モードになっていく感じ。うーん、この非日常感がたまらない。列車旅行の醍醐味である。

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まもなく釧路。名物いわしのほっかぶり
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"ほっかぶり"の大根がポイント
そもそも、弁当の起源は平安時代にまでさかのぼる。かつての弁当は花見や茶会などといった非日常的優雅な文化につきものであったらしい。江戸時代、能や歌舞伎を観覧する人々が幕間に食べていた特製弁当が「幕の内弁当」の起源とも言われている。それが、江戸時代に旅行者や観光客が持ち歩くようになり、日常的なものになっていくのだ。

かつての駅弁は、列車での長い移動間の食事として提供されるというきわめて実用的なものだった。ところが現在では、列車の高速化による目的地への移動時間の短縮、コンビニエンスストアなどの弁当との競合、駅構内での飲食店の充実等で、駅弁経営状況は苦しい、というのが実態である。そこで考えられたのが、地域の特産品などを盛り込んだ郷土色あふれる弁当。駅構内で販売される実用的な食事という枠を飛び越え、地域の特産品などを盛り込んだ郷土色あふれる弁当としての発展を目指す方向にシフトしている。弁当の非日常性が復活というわけだ。

旅に食事の楽しみはつきもの。いつもとは違う豪華な駅弁を食べれば、駅に降り立った時には、旅アドレナリン満タンになっているはずだ。