柿とマンゴー、秋と春の味覚をご一緒に


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遠く日本では春から初夏に移り変わるこの時期。しかしここペルーは、ごぞんじ南半球。ぎらぎらと照りつけるような夏の太陽が消え、リマは秋らしい天気になってきた。四季の移り変わりが日本ほどはっきりしていないリマだが、海霧が空を覆い、気温も20度を下回るようになってくると、秋の気配を感じずにはいられない。

秋の味覚といえば、柿。日本の秋を代表するこの果物は、ペルーでも秋の訪れを告げる果物なのだ。戦前、この地にやってきた日本人移民が苦労して運んできた柿は、当地でも『kaki』の名で知られている。長い船旅の間、枯らさないように細心の注意を払って持ってきた苗木だが、途中寄稿したアメリカの検疫検査でその大部分が没収されてしまったそうだ。その難を逃れて育ったkakiは、以前は小粒だった上に、日本人や日系人が利用する一部のメルカド(市場)でしか取り扱っていなかったが、70年余り経った今では、一般のスーパーにも普通に並ぶようになった。甘く大粒のkakiを頬張ると、懐かしい日本の味が口いっぱいに広がる。



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甘くて大粒の柿は、
この日1キロ300円ほどだった


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リマ郊外の町でみた柿の木。
こんなに小さいのに実がいっぱい!

リマの面白さは、秋だけでなく、春や夏の果物も同時に楽しめるところだ。例えば日本では春から初夏にかけて出回るマンゴーが、リマではkakiのすぐ横に並べてある。最近売られている品種は、マンゴー・エドワード、マンゴー・ケント、マンゴー・カフロ、マンゴー・アスール、マンゴー・アーデンなど。


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この日選んだのはマンゴー・ケント。
果汁たっぷりで美味しい

そしてひとつがたった60〜100円!たしか今年4月に、宮崎産の完熟マンゴーが東京・大田市場の初競りで2個20万円という初値を付けていたような…。ひとつ10万円とは驚きだ。まだ一度も宮崎産マンゴーを食べたことはないが、1000分の1の値段で食べられるなら私はペルー産で充分だ。

日本にいたころはあまり食べなかったのに、リマに来て改めて好きになった柿。そして日本では高くて全然食べられなかったのに、今では毎日食べまくっているマンゴー。どちらも甘みが強く後をひく美味しさで、ついつい手が伸びてしまうのだ。さて今日はどのマンゴーを切ろうかな。
冷蔵庫には今3種類のマンゴーを冷やしてある。香りと柔らかさをじっくり確かめてから、本日のデザートを決めよう。