季節の移り変わりを教えてくれるのは、いつも庭の花や木たち。春の訪れは白い椿と小さなすみれが知らせてくれた。山桜や花海棠(はなかいどう)、水仙、黄色いヒメエニシダ、白いすずらん、紫の苧環(おだまき)。
そして薔薇の花が咲くころ、私はうずうずとしてくる。そろそろマーマレード作りを始めなければ、と思う。
今年も庭の夏みかんがたわわに実った。春先に枝を払った時、すでに20個近く実を取ったのだが、それでもまだまだいっぱい枝に残っていた。薔薇の開花を目安に、ひよどりに食べられないうちに脚立を出して収穫した。うかうかしていると、みかんの新しい花が咲き始めて食べられなくなってしまうのだ。
庭付きの借家に引っ越して来てから、4月5月は毎年恒例の「夏みかんマーマレード作り」。もちろん、実は生のまま食べても美味しいので、残った皮で「夏みかんピール」も。
【マーマレードの作り方】
材料は、夏みかん1個につきお砂糖200g。その日の気分で、2個でも5個でも10個(!)ででも作るので、割合だけ覚えていれば大丈夫。
皮の汚れをよく洗って、8等分のくし切りにして皮をむく。皮は細かく刻んで、大きな鍋でよくゆでこぼす。実はほぐして白い袋とタネを取り除く。ゆでた皮の水分をよく切って、実と合わせて砂糖を入れて、焦がさないように1時間ほど煮詰める。
皮の白いワタが透明になったらほぼできあがり。熱いうちは水っぽく見えるけれど、冷めるとジェル状になる。煮詰めすぎると冷めたときジェル状を通り越して飴のように固まってしまうので、注意。煮沸した瓶の口までしっかり詰めて、フタをして逆さにして空気を抜く。
パンに塗ったり、ヨーグルトに混ぜたりして召し上がれ。
【夏みかんピールの作り方】
材料は、夏みかんの皮1個分につきお砂糖100g。マーマレードより若干手間がかかる。
くし切りにした皮を、苦味を取るため4回茹で、白いワタの部分をスプーンでこそぎ取る。
細かく刻んで(大きさはお好み)、水分を絞ってお砂糖と一緒に煮詰める。充分煮詰まったらお皿にあけて、グラニュー糖をまぶして乾かしてできあがり。
自家製マーマレードは友達や家族に配ったりするとすぐなくなってしまうのだが、毎朝トーストに塗って食べると、なんともいえない満たされた気持ちになる。庭のハーブを摘んで、その日の気分でブレンドしたハーブティーと一緒に味わう。
我が家の春の味である。