丹後半島「蟹づくし、温泉づくしの旅」


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「北近畿日本海の蟹・松葉蟹」が活きがよく、甘く、味わい深くて「新鮮な蟹ってこんなに凄い!」と今までの蟹のイメージを変えてしまってから、毎年11月から3月いっぱいのシーズンで食べられるこの地方の「蟹と温泉の旅」が年間のお楽しみ行事となっている。

今年も春が目の前まできている3月の末日に、京都府の丹後半島に出かけた。
今回の宿は、久美浜湾に面した綺麗なお部屋の「碧翠御苑」。まずは、海際の天然温泉に飛び込む。


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ここ数日は急に寒が戻り、寒さの中にゆらゆら湯気が昇る露天風呂は究極の日本の極楽。ほっこりつかると、目の前に波音もない静かな海水と淡水が混じった海が広がり、とんびがゆうゆうと飛んでいる。
幸せな時間。客も少なく1人の露天風呂には、湯ノ花がこびりついた温泉の流れ口からの湯が流れる癒しの音だけ。

都会の様々な喧騒から逃れ、ただ、ぼーっと海を眺めながらめったにない至福の時間を過ごす。そして1〜2時間も入ると空に夕焼けが広がり、私の空腹の音が静かな露天温泉に鳴く。


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温まった身体を浴衣に包み、部屋に戻ると、さて「蟹づくし」の用意が始まっていた。
津居山港のゆで蟹、蟹の刺身、焼き蟹、蟹豆腐、蟹の天ぷら、久美浜の名物・生牡蠣、牡蠣の塩焼き、蟹しゃぶ、蟹雑炊、黒ゴマソースのバニラアイス。刺身は当然ぷりぷりで、甘く、口の中でねっとりしながら胃袋に入っていく。しゃぶしゃぶは、沸騰しただし汁の中で、ゆらゆらくゆらせると、ぱあっと花が開くようになる。これが新鮮な蟹の花咲きである。蟹味噌は、こってり濃厚。焼き蟹は、これでもかっていうくらいの量で、ひたすらほじって食べる。


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久美浜湾で養殖している牡蠣は大ぶり。海のミルクという名のとおり甘く、つるんと滑るように喉をつたってゆく。
蟹だけでお腹はいっぱい、という贅沢三昧。空の甲羅や殻がどんどんボウルの中に積もっていくと共に、お腹もピークになり、雑炊からデザートにたどり着いた時には、浴衣の紐でしばっていた胃袋が、ぽっこり。
暫く「牛」になってから、また、夜の帳の中での露天風呂につかる。
次の日は、季節はずれの雪。部屋から見える日本庭園が雪化粧。旅にもうひとつ趣を添えてくれた。