魚の受難日―灰の水曜日


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子どもたちの仮装パーティはメイクが命

カトリックの国に住んでいると否が応でも、カトリック中心の行事とともに生活してくことになる。

2月のオーストリアといえば、雪が深々と降り外出が億劫になるくらい連日氷点下の日々と格闘している。空はどんよりとしたグレイ一色で、元気なのは犬と子どもくらいかと思われるほど、人々はやはり暗い顔つきで公共の乗り物に乗っているのを見かける。


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メイクされるほうも真剣

そういう冬真っ只中の大きなイベントが2月の半ばから終わりにかけて始まる謝肉祭こと「カーニバル」(オーストリアとドイツ、バイエルン州ではファッシングという)だろう。

ドイツで大きな者ではケルンの仮装行列でテレビで毎年中継されている。

この謝肉祭だが、毎年復活祭から数えて46日前の水曜日が「灰の水曜日」(アッシェル・ミットゥヴォッホ)と呼ばれている。古くからざんげの印として、灰を額に塗った事から灰の水曜日とよばれるのだ。


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前菜要のニシンのマヨネーズあえ

この日を境に復活祭までの40日間、禁欲生活に入る。質素な食生活に切り替えなくてはいけない。肉は当然避ける。
「灰の水曜日」はニシンのご馳走を食べる習慣があり、街中のレストランでは
「へーリング・シュマウスがあります」と店頭で宣伝している。
シュマウスとはご馳走という意味で、家庭でもニシンをマヨネーズであえたり、酢漬けにしたものを食べる。

毎年この時期は魚屋のかきいれどきで大忙しだ。
近所の魚やのおっちゃんも、大声で豪快に笑いながら魚を切りさばいては売っている。
我が家でもへーリングを食べ、さらに鱒のグリル焼きを作ってみた。
魚三昧である。


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マスのグリスはオリーブオイルであっさりと

親しい友人、親戚を招待して「我が家のへーリングシュマウスへ来ませんか?」と
魚をつまみに話に花が咲くのもこの「灰の水曜日」だ。

しかし最近のブームは何と言っても和食。
もしかしたら、ニシンでは事足らなくて巻き肴オンパレードの寿司を作ってもてなす家庭も多くなってきているのではないだろうか?
要は魚であればよろしいのだから…